1: 名無しさん(仮) 2025/10/06(月)23:06:36 0
夏。トレセン学園のウマ娘達にとっては勝負の季節である。夏合宿で大幅な強化をしてライバル達と差を付ける。夏合宿を制する者が来たる秋からのレースを制すると言っても過言ではない。しかし、誰もが夏合宿で他の娘より強くなってやろうと意気込むそんな中、合宿以外にも意識を向けるウマ娘が一人。鉄腕アルバイター、アイネスフウジンである。
彼女の家は金銭的余裕が無く、彼女のアルバイトによる仕送りで家計を支えている。夏季休業期間中であれば勉学に向ける時間をアルバイトに充てられる。正に絶好の稼ぎ時。しかし、彼女とてレースで勝利を目指す競走ウマ娘。夏合宿にも打ち込んで、より自身を強化したい。故に、夏合宿とアルバイト、スケジュールのバランスを取るのが毎年の悩みの種であった…
「うーん…」
カレンダーとにらめっこしながら、スケジュールを埋めていくアイネス。どうにか半分程埋まった。
「合宿も大事だけど、やっぱり出来るだけ稼ぎたいよねー」
─本当にそれだけなの?
スケジュールを埋める手がピタと止まる。
─華の青春。トレーニングにバイトだけの夏って、それで満足なの?
彼女の家は金銭的余裕が無く、彼女のアルバイトによる仕送りで家計を支えている。夏季休業期間中であれば勉学に向ける時間をアルバイトに充てられる。正に絶好の稼ぎ時。しかし、彼女とてレースで勝利を目指す競走ウマ娘。夏合宿にも打ち込んで、より自身を強化したい。故に、夏合宿とアルバイト、スケジュールのバランスを取るのが毎年の悩みの種であった…
「うーん…」
カレンダーとにらめっこしながら、スケジュールを埋めていくアイネス。どうにか半分程埋まった。
「合宿も大事だけど、やっぱり出来るだけ稼ぎたいよねー」
─本当にそれだけなの?
スケジュールを埋める手がピタと止まる。
─華の青春。トレーニングにバイトだけの夏って、それで満足なの?
2: 名無しさん(仮) 2025/10/06(月)23:07:06 0
「な…何なの一体…この声は…」
辺りを見渡すも、部屋には既に就寝しているメジロライアンがいるばかり。この声の主は一体…
─あたしは内なるアンタの声。抑圧されたアンタ自身、負の側面。言うなれば、闇のアイネスフウジン。ダークネスフウジンなの。
「闇のあたし…!?」
なのなのなの…と不敵に笑う内なる自分に戸惑いが隠せない。
「なんて安直な笑い方なの…」
─そこなの?
「で、その闇のあたしが一体何の用なの?」
─なのなのなの…知れたことなの。アンタはそんなバイトとトレーニングでギチギチになったスケジュールで本当に満足かって聞いてるの。
「満足も何も、毎年やってることなの。それに、他の娘達もバイトはしなくても夏はトレーニングに打ち込んでるの」
─本当に?
そう言うとダークネスは後ろを指差す。『トレーナーさぁん、ダメです…そこは大腿筋膜張筋…』等と幸せそうに寝言を呟くライアンがいた。
─ライアンちゃん、トレーナーとお出かけする予定があるって言ってたの。
寝る前のこと。メジロライアンは嬉しそうにこの夏は自身のトレーナーと花火大会に行くと言っていた。
辺りを見渡すも、部屋には既に就寝しているメジロライアンがいるばかり。この声の主は一体…
─あたしは内なるアンタの声。抑圧されたアンタ自身、負の側面。言うなれば、闇のアイネスフウジン。ダークネスフウジンなの。
「闇のあたし…!?」
なのなのなの…と不敵に笑う内なる自分に戸惑いが隠せない。
「なんて安直な笑い方なの…」
─そこなの?
「で、その闇のあたしが一体何の用なの?」
─なのなのなの…知れたことなの。アンタはそんなバイトとトレーニングでギチギチになったスケジュールで本当に満足かって聞いてるの。
「満足も何も、毎年やってることなの。それに、他の娘達もバイトはしなくても夏はトレーニングに打ち込んでるの」
─本当に?
そう言うとダークネスは後ろを指差す。『トレーナーさぁん、ダメです…そこは大腿筋膜張筋…』等と幸せそうに寝言を呟くライアンがいた。
─ライアンちゃん、トレーナーとお出かけする予定があるって言ってたの。
寝る前のこと。メジロライアンは嬉しそうにこの夏は自身のトレーナーと花火大会に行くと言っていた。
3: 名無しさん(仮) 2025/10/06(月)23:07:29 0
「だ、だから何なの?他所は他所、ウチはウチ。あたしはバイトをしなきゃいけない分、そんな暇はないの。貧乏暇無しって言うでしょ!」
─でもタマモさんもトレーナーと一緒に花火大会行くって言ってたような?
「………」
『へへへ、ダーリ…トレーナーと花火見てくるんや〜』と嬉しそうに言っていた暇無し仲間の顔が脳裏に浮かんだ。
─正直になるの。本当は未練があるんでしょ?アンタもトレーナーと花火大会に行きたい…そうでしょ?
ダークネスが指差す先には花火大会のチラシが。何を隠そう、アイネスもまた自身のトレーナーと花火大会に行きたかったのだ。しかし、そんな暇は無いと断念。それでも未練を捨て切れず、チラシを処分出来ないでいた。
─1日くらい大丈夫なの…普段頑張ってる分1日くらい楽しんだって罰は当たらないの…
「でもぉ…」
─つべこべ言うくらいなら電話の一本でもかけてみるの。ほれほれ。
─でもタマモさんもトレーナーと一緒に花火大会行くって言ってたような?
「………」
『へへへ、ダーリ…トレーナーと花火見てくるんや〜』と嬉しそうに言っていた暇無し仲間の顔が脳裏に浮かんだ。
─正直になるの。本当は未練があるんでしょ?アンタもトレーナーと花火大会に行きたい…そうでしょ?
ダークネスが指差す先には花火大会のチラシが。何を隠そう、アイネスもまた自身のトレーナーと花火大会に行きたかったのだ。しかし、そんな暇は無いと断念。それでも未練を捨て切れず、チラシを処分出来ないでいた。
─1日くらい大丈夫なの…普段頑張ってる分1日くらい楽しんだって罰は当たらないの…
「でもぉ…」
─つべこべ言うくらいなら電話の一本でもかけてみるの。ほれほれ。
………
『もしもし、どうしたのアイネス?…花火大会?その日は……うん、予定無いね。いいよいいよ、一緒に行こう』
「っしゃあ!…なの」
4: 名無しさん(仮) 2025/10/06(月)23:08:25 0
予定を取り付け、思わずガッツポーズをするアイネス。その様子を見て、ダークネスはニヤリとしたり顔。
─なのなのなの。ね、電話して良かったの。
「うん…ありがと…諦めなくて良かったの…」
─どういたしましてなの。
「貴女のこと誤解してた。貴女、善い闇のあたしなの」
─なのなのなの…で、次はどうするの?この日も空いてるの。
「なっ…!?これ以上はダメなの!1日だけでもトレーナーとお出かけ出来るならあたしは満足で…」
─本当にそうなの?
ダークネスが指をさすとそこには映画のチラシが。
「なっ…あっ…だっ、ダメなのダメなの!これ以上バイトを休んじゃったら…」
─トレーナーと電話、まだ繋がってるの
─なのなのなの。ね、電話して良かったの。
「うん…ありがと…諦めなくて良かったの…」
─どういたしましてなの。
「貴女のこと誤解してた。貴女、善い闇のあたしなの」
─なのなのなの…で、次はどうするの?この日も空いてるの。
「なっ…!?これ以上はダメなの!1日だけでもトレーナーとお出かけ出来るならあたしは満足で…」
─本当にそうなの?
ダークネスが指をさすとそこには映画のチラシが。
「なっ…あっ…だっ、ダメなのダメなの!これ以上バイトを休んじゃったら…」
─トレーナーと電話、まだ繋がってるの
『大丈夫?何か一人で喋ってたみたいだけど……その日?えーと…あ、空いてるよ。じゃあ映画も行こうか』
5: 名無しさん(仮) 2025/10/06(月)23:08:58 0
「っしゃあ!…なの」
再度ガッツポーズをしたアイネスであった。
─なのなのなの。良かったの、デートが2日もあるの。
「も、もう十分なの。これ以上は…」
─水族館にも行きたいの〜
「もう止めてぇぇぇ!!」
数分後、3つ目のデートの約束を取り付けたアイネスであった。
再度ガッツポーズをしたアイネスであった。
─なのなのなの。良かったの、デートが2日もあるの。
「も、もう十分なの。これ以上は…」
─水族館にも行きたいの〜
「もう止めてぇぇぇ!!」
数分後、3つ目のデートの約束を取り付けたアイネスであった。
「まずいの…このままだとバイトの日数が…」
─なのなのなの。次は何処へ行きたいの〜?
ニヤニヤと笑うダークネスを睨むも結局は自分自身。自業自得に他ならない。そこへ…
─ほわ〜〜〜〜遅くなったのですわ〜〜〜〜
「この声は…!?」
─チィ…面倒なのが出てきたの…!
─あたくしは内なる貴女様の声。貴女様の善性。ブライトネスフウジンなのですわ〜〜〜。
11: 名無しさん(仮) 2025/10/06(月)23:15:11 0
>>5
>ブライトネスフウジン
ここやりたかっただけだろ!
>ブライトネスフウジン
ここやりたかっただけだろ!
6: 名無しさん(仮) 2025/10/06(月)23:09:36 0
「…何か違う子混ざってない?」
─気の所為なのですわ〜〜〜
─コイツのせいで普段あたしは抑圧されてるの!邪魔しないでほしいの!コイツさえいなければ今頃トレーナーとあんなことやこんなことを…!
─ほわ〜〜何事も焦りは禁物。無理に関係を進めようとすれば何処かで無理が生じるもの。例え牛歩でも一歩一歩確実に積み上げていくのが恋の鉄則なのですわ〜〜〜。
「ねぇ、やっぱりこの娘別の誰か混ざってない?」
アイネスの質問を無視して、ダークネスはブライトネスに食ってかかる。
─アンタが出てきたってことはまた邪魔しにきたってことなの!?
─当然ですわ〜〜。レースを優先するのは当然として、あたくし達の双肩には家族の生活もかかっています。恋心を否定する気はありませんが遊んでばかりいては家族に迷惑がかかるのですわ〜〜。
よく分からない状況ではあるが、危うくダークネスに傾きかけていた心が正されていくのを実感する。アイネスは助かったと胸を撫で下ろした。ところが。
─でもそれじゃ…それじゃあたしが可哀想なの!
ダークネスが悲痛な叫びを上げた。
─気の所為なのですわ〜〜〜
─コイツのせいで普段あたしは抑圧されてるの!邪魔しないでほしいの!コイツさえいなければ今頃トレーナーとあんなことやこんなことを…!
─ほわ〜〜何事も焦りは禁物。無理に関係を進めようとすれば何処かで無理が生じるもの。例え牛歩でも一歩一歩確実に積み上げていくのが恋の鉄則なのですわ〜〜〜。
「ねぇ、やっぱりこの娘別の誰か混ざってない?」
アイネスの質問を無視して、ダークネスはブライトネスに食ってかかる。
─アンタが出てきたってことはまた邪魔しにきたってことなの!?
─当然ですわ〜〜。レースを優先するのは当然として、あたくし達の双肩には家族の生活もかかっています。恋心を否定する気はありませんが遊んでばかりいては家族に迷惑がかかるのですわ〜〜。
よく分からない状況ではあるが、危うくダークネスに傾きかけていた心が正されていくのを実感する。アイネスは助かったと胸を撫で下ろした。ところが。
─でもそれじゃ…それじゃあたしが可哀想なの!
ダークネスが悲痛な叫びを上げた。
7: 名無しさん(仮) 2025/10/06(月)23:10:13 0
─レースは大好きだし、家族のことだって何より大事なの!でもあたしだって…あたしだってトレーナーともっと一緒にいたい!皆みたいに色んなところにお出かけして、思い出作って…そう思うことの何がいけないの!?
「ダークネス…」
彼女は抑圧された自分自身。つまり今の叫びはアイネス自身の本音。確かに、そんな考えが過ぎることはある。だが。
「ありがと、ダークネス。あたしが普段言えないことを言ってくれて。でもね、あたしはそれでもレースを大事にしたいし、家族のために沢山バイトしたい。それがあたしの役割だし、あたしの幸せだから」
─嘘!アンタはそれで満足してるはずない!
「うん、満足はしてないよ。でもね、トレーナーが、あの人があたしのレースへの気持ちも家族への気持ちも理解してくれるから、それで十分。他の皆みたいに、一緒にいれる時間は少なくても、思い出を作れなくても、トレーナーが信じてくれてるから!あたしは大丈夫なの!」
─アイネス…
「貴女、やっぱり善い闇のあたしなの。あたしのこと、想って出てきてくれたんだよね?ありがと、あたし」
「ダークネス…」
彼女は抑圧された自分自身。つまり今の叫びはアイネス自身の本音。確かに、そんな考えが過ぎることはある。だが。
「ありがと、ダークネス。あたしが普段言えないことを言ってくれて。でもね、あたしはそれでもレースを大事にしたいし、家族のために沢山バイトしたい。それがあたしの役割だし、あたしの幸せだから」
─嘘!アンタはそれで満足してるはずない!
「うん、満足はしてないよ。でもね、トレーナーが、あの人があたしのレースへの気持ちも家族への気持ちも理解してくれるから、それで十分。他の皆みたいに、一緒にいれる時間は少なくても、思い出を作れなくても、トレーナーが信じてくれてるから!あたしは大丈夫なの!」
─アイネス…
「貴女、やっぱり善い闇のあたしなの。あたしのこと、想って出てきてくれたんだよね?ありがと、あたし」
8: 名無しさん(仮) 2025/10/06(月)23:10:32 0
─お取り込み中の所申し訳ありませんが、そういうことなら考えがあるのですわ〜〜
綺麗にまとまりかけた話の腰を、ブライトネスがへし折った。
─トレーナー様と一緒にいれて、尚且つおバイトも出来る素敵な方法、それは、トレーナー様にも一緒にバイトをしてもらうこと!
以前、バレンタインの日。二人で包装のバイトをしたことはあった。だが一日のバイトに対して今回は夏いっぱい。期間が長過ぎる。
「それは流石に無茶なの!」
─恋を進展させるには、時には無茶も必要なのですわ〜〜。
「さっきと言ってることが違うの!?」
─良い考えなの!ブライトネス、アンタのこと誤解してたの!アンタ、善いあたしなの!
─あたくしは最初からそう名乗ってるのですわ〜〜。
─そうと決まれば!ほら、アイネス!さっさと電話電話!
「え、えぇ…?」
綺麗にまとまりかけた話の腰を、ブライトネスがへし折った。
─トレーナー様と一緒にいれて、尚且つおバイトも出来る素敵な方法、それは、トレーナー様にも一緒にバイトをしてもらうこと!
以前、バレンタインの日。二人で包装のバイトをしたことはあった。だが一日のバイトに対して今回は夏いっぱい。期間が長過ぎる。
「それは流石に無茶なの!」
─恋を進展させるには、時には無茶も必要なのですわ〜〜。
「さっきと言ってることが違うの!?」
─良い考えなの!ブライトネス、アンタのこと誤解してたの!アンタ、善いあたしなの!
─あたくしは最初からそう名乗ってるのですわ〜〜。
─そうと決まれば!ほら、アイネス!さっさと電話電話!
「え、えぇ…?」
9: S 2025/10/06(月)23:11:03
『もしもし?何かさっきから独り言多くて怖いんだけど大丈夫?……バイト?うーん、まぁ君の為なら!いいよ、一緒に頑張ろうアイネス!』
─なーのなのなの!やったのー!夏の間ずっと一緒!思い出沢山!
─ほ〜わほわほわ〜。楽しみですわ〜。
「あ…あぁ…」
─なーのなのなの!やったのー!夏の間ずっと一緒!思い出沢山!
─ほ〜わほわほわ〜。楽しみですわ〜。
「あ…あぁ…」
翌朝。
「おはよう、アイネス!スケジュールは決まっ…何か疲れた顔をしてるよ?大丈夫?」
「ライアンちゃん…あたし、悪いあたしになっちゃったの…」
「……?よく分からないけど、たまには良いんじゃないかな?」
10: S 2025/10/06(月)23:11:41
季節外れなネタです
12: 名無しさん(仮) 2025/10/06(月)23:18:25 0
内なる己と対話せよ
いやこんな具体的にせよとは言ってない…
いやこんな具体的にせよとは言ってない…
13: 名無しさん(仮) 2025/10/06(月)23:34:39 0
タマがしれっと惚気てる
14: 名無しさん(仮) 2025/10/06(月)23:43:58 0
これ本当に内なる自分?
15: 名無しさん(仮) 2025/10/07(火)00:00:34 0
>>14
本当に内なる自分です…
本当に内なる自分です…
17: 名無しさん(仮) 2025/10/07(火)00:03:10 0
>>15
ほ…ほわぁ〜
ほ…ほわぁ〜
16: 名無しさん(仮) 2025/10/07(火)00:01:44 0
ウチとやろうや!
18: 名無しさん(仮) 2025/10/07(火)00:18:12 0
アイネスとて幸せになっていい



