ジッ
部屋の一角から視線を感じる……先日から家で匿うことになったゴドルフィンバルブ、彼女が入っているサトノグループ製プロジェクターからだった。
搭載されているカメラに視線を向けるとコンセントに刺さっていた充電ケーブルを器用に収納して、こちらの足元に寄って来る。
「あの〜折角のお休みの日に申し訳ないんだけど、行きたいところがあって……」
"行きましょうか"
前に「世界を巡ってみたい」という風に言われていたのである程度の遠出を考慮していたのだが、彼女が指定した先はというと……
"……公園ですね"
「ええ、今日はお天気も良かったから」
学園の近所にある何の変哲もない公園に来ていた。休日なのもあって人間やウマ娘の親子連れでそこそこ賑わっている。
特に何かしようというわけでもなく、彼女がベンチの前で止まったのでプロジェクターをベンチの上に置いて目線を近くしてから座った。
「うふふ、みんな元気いっぱいね」
"子供好きなんですか?"
「そういうわけじゃないんだけど、子供って可能性の塊でしょう?」
「これから様々なことを学んでいって、何が知りたくなるんだろう、何を目指していくんだろうって考えるのが楽しいの」
最初に軽く否定が入ったが、子供達を見つめる彼女の瞳には愛情が籠っている。慈母とでも形容できそうな佇まいだ。
"そうですね"
「なら私の気持ちも少しは分かるんじゃないかしら」
そうは言うが、"愛情"が形を成した存在に対して簡単に「分かりますよ」とは返せない……。
言い淀んで苦笑していると足元にサッカーボールが転がって来た。
「ごめんなさーい!」
「あ、ありがとうございます!」
ボールを拾い上げると5人ほどの少年とウマ娘達がこちらに駆け寄ってきていた。誤ってここまで飛ばしてしまったのだろう。
手に持ったそれを返してあげるとサッカーグループの目がゴドルフィンバルブの方を物珍しそうに見ている。
ホログラム上の彼女は若干透けて姿を映しているので好奇心が沸いたようだ。
「うふふふ、実は私、三女神の一人なの」
"えぇ!?"
「えぇー!?嘘だーーー!」
思いもよらないことを言いだしたので自分も子供達と一緒に驚きの声を上げる。
「本当よ、他の二人は都合が合わなくてここにはいないけれどよく顔を合わせてるわ」
「ふーん……」
「あ、あの!女神さま!ワタシ大きくなったらトレセン学園に入りたくて……」
「あらそう、どんなウマ娘になりたいの?」
自信なさげに見える黒鹿毛のウマ娘の少女がもじもじとしながら夢を語りはじめた。
「そうねぇ……今はまだ厳しいトレーニングとかは必要ないけれど、同じ年の子とレースをして慣れるのはいい経験になると思うわ。トレーナーさんはどう思うかしら?」
"自分も同意見ですね"
まだ走り方の模索が済んでいない時点で自主トレーニングを積むのは後の走りに悪い影響を与えかねない。
現時点で何かするならレースそのものの雰囲気を掴んで、緊張に慣れるのがいいだろう。
年少レース出場のためにクラブに入ることで、走り方の模索もクラブ所属のトレーナーと出来るはずだ。
「!わ、ワタシパパとママにレースしてみたいって言ってみます!」
「頑張ってね、トレセン学園で会えるのを楽しみにしてるわ」
「焦らなくて大丈夫よ、他の子も聞きたいことがあったら順番に聞いてあげるから言ってみてちょうだい」
「じゃーさ、三女神さまって誰が一番つえーの?」
「うーん、いきなり難問が来ちゃったわね〜……」
その後、彼女は困った顔をしつつも子供たちの質問に嬉しそうに答えていた。
このアイディアは、担当ウマ娘とのトレーニングに活かせるかもしれない!
担当ウマ娘の成長につながった!
やる気が上がった
体力が54回復した
スタミナが15上がった
賢さが15上がった
スキルPtが60上がった
ゴドルフィンバルブの絆ゲージが5上がった
お前が受け継ぎし者になるんだよ
バルブさんも匿ってと頼んだのはこっちだと庇ってはくれるだろうが
俺は詳しいんだ
玉座みたいに1人ずつお出かけしてから3人と温泉いきたい