月日の経過を例えた言葉。
しかし不適切ではないか。何故矢なのか。一閃の如し、でいいのではないか。我が太刀筋は弓より放たれた矢よりも速い──
閑話休題。
「……長く過ごしたこのトレーナー室もお別れかぁ」
トレーナーが荷物を整理しながらしみじみと呟いた。
メンバー増員に伴う部屋の移動と整理。
それだけのことだが、随分と懐かしさを覚えるような、不思議な感覚がした。
「まぁそうだけど」
彼は苦笑しながら棚のトロフィーを片付けていく。
スプリンターズS。
彼と掴み取った最初の冠。危うく早とちりとなりかけた彼のガッツポーズが思い浮かぶ。
マイルCS。
彼と抱擁を交わした記憶が浮かぶ。
マイルCS。
彼と磨き上げた切れ味が衰えていないことを示した。
「……やっぱり、デュランダルも懐かしい?」
彼の指摘で。私も、手を止めていたことに気がついた。
「だろ?」
懐古、とまではいかないが。一抹の寂しさに近しいものは覚えている。
同時に、少しニヤついた彼の顔に、一欠片の苛立ちも。
しかし小言を伝える前に、彼は、表情を切り替えた。
真摯にレースへと向かうトレーナーの顔。
私の『鞘』の顔。
「……君に、勝てるウマ娘の背中を教えてもらったんだ。それで、ここまで来れた」
「……私も。私の切れ味に、全てを賭けてくれるあなたがいたから」
お互い手を止めて、見詰め合う。
部屋の窓から差し込む夕焼けが、お互いの頬を赤く染めた。
一瞬にして奇妙な空気になってしまった。
先に動いた方が負け。後の先を行かねば。
或いは先の先を読むか。答えの出ぬ探り合いを続けていると──
「ああーーーーーーっ!!」
──すぐ側の廊下で、カレンチャンの悲鳴が聞こえた。
直後に。オルフェーヴル達が生み出したであろう喧騒も。
「……行きましょうか」
「そうだね」
お互いに、微笑み合った。
「うん?」
部屋を出る直前。彼に、声をかける。
「あなたと駆け抜けた日々は。いつまでも」
彼は、少し呆気に取られたように目を見開いて。
「これからも、ね」
それから、くすりと柔らかく笑った。
嬉しいので久しぶりに書いた
ありがとう
おめでとう
オルフェーヴル
ドリームジャーニー
一年目は来ないと思っていた幻覚がみな実体を持つとは…
舌出してるパンクロリの幻覚が多かった気がする
おめでとう
見た目以外そのままでもそこまで違和感強くないと思う