1: 名無しさん(仮) 2024/10/04(金)23:46:48
二人ソロキャンプというのは漫画だけの話ではないのだ
やれ「新しく買ったキャンプギアも俺も試したい」とか
やれ「ウマ娘のキャンプは食材で荷物が増えがち」とか
やれ「君が気に入りそうなキャンプ場を動画で見た」とか
あれよあれよと言う間に勝手にその気になっていて
この分だと大概トレーニングの間も暑苦しそうだから
仕方なくこっちが根負けして付き合うと言っただけなのに
良かった、と目を輝かせてくれば最早断る事もできない
結局行きの道中の車内でもずっと喋りかけてきて
そのうちアタシも免許が欲しいと呟いてみたら
助手席に乗る事を前提に話し出すのだから本当たまんない
アンタじゃなくて一番乗るの子供になるだろうにね
こういう事言うとスイッチ入るだろうから絶対言わないけど
喉まででかけて代わりにまだなの?って呟いてみれば
「もうすぐだよ」って宥められた。はしゃいでないっての
やれ「新しく買ったキャンプギアも俺も試したい」とか
やれ「ウマ娘のキャンプは食材で荷物が増えがち」とか
やれ「君が気に入りそうなキャンプ場を動画で見た」とか
あれよあれよと言う間に勝手にその気になっていて
この分だと大概トレーニングの間も暑苦しそうだから
仕方なくこっちが根負けして付き合うと言っただけなのに
良かった、と目を輝かせてくれば最早断る事もできない
結局行きの道中の車内でもずっと喋りかけてきて
そのうちアタシも免許が欲しいと呟いてみたら
助手席に乗る事を前提に話し出すのだから本当たまんない
アンタじゃなくて一番乗るの子供になるだろうにね
こういう事言うとスイッチ入るだろうから絶対言わないけど
喉まででかけて代わりにまだなの?って呟いてみれば
「もうすぐだよ」って宥められた。はしゃいでないっての
2: 名無しさん(仮) 2024/10/04(金)23:47:01
「すみません助かりましたぁ〜!」
「いやいや良いんですよ」
で、いざ目的地に着いてみればこれだ
それぞれ距離を空けてテント設営に取り掛かっていたら
若い初心者キャンパーらしい女の子に寄り付かれてやんの
まあトレーナーはガタイが良いから目立つもんね
お人好しは気づかないもんかね
アンタが鼻の下伸ばしてるその子の焚火台使いこまれてるし
手伝って割ってる薪も針葉樹と広葉樹が混じってる
明らかに狙われてるって傍から凝視してても分かるって
「あれ、向こうの子もひょっとして困ってるのかな」
やば、こっちの視線に気づかれた
「ああ。あの子はベテランなんで大丈夫ですよ」
「そうなんですか?」
「ええ」
「いやいや良いんですよ」
で、いざ目的地に着いてみればこれだ
それぞれ距離を空けてテント設営に取り掛かっていたら
若い初心者キャンパーらしい女の子に寄り付かれてやんの
まあトレーナーはガタイが良いから目立つもんね
お人好しは気づかないもんかね
アンタが鼻の下伸ばしてるその子の焚火台使いこまれてるし
手伝って割ってる薪も針葉樹と広葉樹が混じってる
明らかに狙われてるって傍から凝視してても分かるって
「あれ、向こうの子もひょっとして困ってるのかな」
やば、こっちの視線に気づかれた
「ああ。あの子はベテランなんで大丈夫ですよ」
「そうなんですか?」
「ええ」
3: 名無しさん(仮) 2024/10/04(金)23:47:16
いや事実だけどさ。もう設営も余所見してても終わるし
さっさと終わらせてアンタの所に冷やかしに行こうと思ってたし
てか薪割するにも近すぎない。近いよね
思わず腰を上げた所で二人の距離が寄り近づいた
「あ、駄目ですよぉ〜私ぃここまで来て汗ばんでるかも」
「いやいや良い匂いですよ」
っ!調子乗りすぎ…!
「…気づきませんでした?これ、男物の香水ですよ」
「チイッ!」
女の子の喉から野太い声が漏れ
そしてトレーナーの胸板に至近距離から飛んだ貫き手が届く事は無かった
慌てて駆け寄ろうとしたアタシを
飛び退っていたトレーナーの手が制止する
「俺達がキャンパーという情報を得て張っていたのか…」
「ご明察」
さっさと終わらせてアンタの所に冷やかしに行こうと思ってたし
てか薪割するにも近すぎない。近いよね
思わず腰を上げた所で二人の距離が寄り近づいた
「あ、駄目ですよぉ〜私ぃここまで来て汗ばんでるかも」
「いやいや良い匂いですよ」
っ!調子乗りすぎ…!
「…気づきませんでした?これ、男物の香水ですよ」
「チイッ!」
女の子の喉から野太い声が漏れ
そしてトレーナーの胸板に至近距離から飛んだ貫き手が届く事は無かった
慌てて駆け寄ろうとしたアタシを
飛び退っていたトレーナーの手が制止する
「俺達がキャンパーという情報を得て張っていたのか…」
「ご明察」
4: 名無しさん(仮) 2024/10/04(金)23:48:27
成程トレーナー狩りだ
天高くウマ肥ゆる秋、闇の者達の間でも太り気味は課題であり
来るべき冬へと向け人材確保に中央のトレーナーが狙われるのは
風物詩と言っても過言ではないのだ
ただの泥棒猫ならいざ知らずトレーナー狩りであれば
基本的人権の尊重をする必要は無い
変装を解き筋骨隆々の男の姿を見せた相手に向かい
アタシは印を組みウマソウルを練ると丹田から全身に巡らせて…
「――火遁・業火滅…」
「待つんだタイシン。ファイアは駄目だ」
「えっ!?」
トレーナーとトレーナー狩りの手足が交差し
打撃音が秋の空に響き渡る中アタシの火遁がその声に中断する
「ここはいくら燃やしてもいいターフじゃない!
それに…お互い買ったばかりのキャンプギアもあるだろう!」
天高くウマ肥ゆる秋、闇の者達の間でも太り気味は課題であり
来るべき冬へと向け人材確保に中央のトレーナーが狙われるのは
風物詩と言っても過言ではないのだ
ただの泥棒猫ならいざ知らずトレーナー狩りであれば
基本的人権の尊重をする必要は無い
変装を解き筋骨隆々の男の姿を見せた相手に向かい
アタシは印を組みウマソウルを練ると丹田から全身に巡らせて…
「――火遁・業火滅…」
「待つんだタイシン。ファイアは駄目だ」
「えっ!?」
トレーナーとトレーナー狩りの手足が交差し
打撃音が秋の空に響き渡る中アタシの火遁がその声に中断する
「ここはいくら燃やしてもいいターフじゃない!
それに…お互い買ったばかりのキャンプギアもあるだろう!」
5: 名無しさん(仮) 2024/10/04(金)23:48:50
アタシが歯噛みするのとトレーナー狩りの口元が歪むのは同時だった
成程闇のウマ娘も大事な育成期間だろうに放っておくリスクを取るだけある
「既に地の利は得ていた、って訳ね…」
「フハハそうとも!おニューのギアは可愛かろう
俺もキャンパーとしてその気持ちは痛い程分かるからなあ!」
「ちいっ!」
見た所二人の格闘能力は拮抗しているように見えた
このままアタシが乱入したとしてもかえって邪魔になるかもしれない
が、それでもアタシに焦りは無かった
「さあ大人しく俺と来て貰おうか…宿泊施設と三食休憩時間は保証する!」
「生憎だがそうもいかないので…なっ!」
互いの拳が衝突し出来たお互いの僅かな間
その刹那はトレーナーが両手で印を結ぶには十分だった
「―――領域展開」
「何ィッ!?」
成程闇のウマ娘も大事な育成期間だろうに放っておくリスクを取るだけある
「既に地の利は得ていた、って訳ね…」
「フハハそうとも!おニューのギアは可愛かろう
俺もキャンパーとしてその気持ちは痛い程分かるからなあ!」
「ちいっ!」
見た所二人の格闘能力は拮抗しているように見えた
このままアタシが乱入したとしてもかえって邪魔になるかもしれない
が、それでもアタシに焦りは無かった
「さあ大人しく俺と来て貰おうか…宿泊施設と三食休憩時間は保証する!」
「生憎だがそうもいかないので…なっ!」
互いの拳が衝突し出来たお互いの僅かな間
その刹那はトレーナーが両手で印を結ぶには十分だった
「―――領域展開」
「何ィッ!?」
6: 名無しさん(仮) 2024/10/04(金)23:49:17
辺りの空間がトレーナーを中心に歪み
そして秋の未だ紅葉遅き山間から
アタシ達3人は真冬の雪がちらつく夜の街路地へと転移していた
領域「聖夜街路一歩半」
中央のトレーナー達はそれぞれが己が領域を所有している
アイツが生成したのは半径5m程の小規模な空間…
敵対する相手が単独の時にしか効果は発揮しないものの
対象を一歩半…互いの拳が届く距離に留め置く効果を持っている
トレーナーカリ
「どうした?強奪戦の間合いだぞ」
「く…おおおォォォッ!」
鈍い音を立てて互いの拳がお互いの顔へとめり込む
そして秋の未だ紅葉遅き山間から
アタシ達3人は真冬の雪がちらつく夜の街路地へと転移していた
領域「聖夜街路一歩半」
中央のトレーナー達はそれぞれが己が領域を所有している
アイツが生成したのは半径5m程の小規模な空間…
敵対する相手が単独の時にしか効果は発揮しないものの
対象を一歩半…互いの拳が届く距離に留め置く効果を持っている
トレーナーカリ
「どうした?強奪戦の間合いだぞ」
「く…おおおォォォッ!」
鈍い音を立てて互いの拳がお互いの顔へとめり込む
だが結局一瞬でも怯んだトレーナー狩りに勝機は無かった
7: 名無しさん(仮) 2024/10/04(金)23:49:34
「実は俺も担当ウマ娘の育成に悩んでいて…」
顔をルービックキューブの様に腫らしたトレーナー狩りが
アタシ達と焚火を囲みながらポツリポツリと悩みを吐き出す
自分ではどうしようも無いから最早誰かの手を借りるしかない
だが借りではなく狩りを選んだのか彼の失敗だったのだろう
もっとも、それ以上のアタシのトレーナーはお人好しなのだが
「それなら俺にいくらでも聞かせてくれればいい
現地に赴く事があるならいくらでも相談に乗るさ…いいよな?」
「言ってもどうせ無駄なんでしょ」
わかってる、と肩を竦めて見せると苦笑するトレーナー
「ありがとうございます、タイトレの兄貴ッ!」
結局アタシのソロキャンプの予定はオシャカになり
後方理解者面をしながら情熱的に話すアイツの顔を眺めつつ
夜のコーヒーを啜る事になったのだった…
顔をルービックキューブの様に腫らしたトレーナー狩りが
アタシ達と焚火を囲みながらポツリポツリと悩みを吐き出す
自分ではどうしようも無いから最早誰かの手を借りるしかない
だが借りではなく狩りを選んだのか彼の失敗だったのだろう
もっとも、それ以上のアタシのトレーナーはお人好しなのだが
「それなら俺にいくらでも聞かせてくれればいい
現地に赴く事があるならいくらでも相談に乗るさ…いいよな?」
「言ってもどうせ無駄なんでしょ」
わかってる、と肩を竦めて見せると苦笑するトレーナー
「ありがとうございます、タイトレの兄貴ッ!」
結局アタシのソロキャンプの予定はオシャカになり
後方理解者面をしながら情熱的に話すアイツの顔を眺めつつ
夜のコーヒーを啜る事になったのだった…
8: 終 2024/10/04(金)23:49:46
後日仲の良くなった二人がそのままキャンプにでかけ
LANEに送られて来た写真を見て激怒するのはまた別の話。
LANEに送られて来た写真を見て激怒するのはまた別の話。
9: 名無しさん(仮) 2024/10/04(金)23:52:31
タイシンファイアかと思ったらファイアだったけどファイアじゃなかった
10: 名無しさん(仮) 2024/10/04(金)23:54:18
キャンプ仲間が増えていい話だなー
11: 名無しさん(仮) 2024/10/04(金)23:58:23
いい話かな…?
12: 名無しさん(仮) 2024/10/05(土)00:00:02
自分のトレーナーにも気の合う友人が出来てこれには闇のウマ娘もニッコリ
13: 名無しさん(仮) 2024/10/05(土)00:16:42
呪術廻戦も終わったしな
14: 名無しさん(仮) 2024/10/05(土)00:16:43
久しぶりにタイシンファイア読めてよかった
15: 名無しさん(仮) 2024/10/05(土)00:44:01
何だこれは
16: 名無しさん(仮) 2024/10/05(土)00:58:33
タイシンファイアかと思ったら號奪戦だった
なにを言っているんだ俺は…
なにを言っているんだ俺は…
17: 名無しさん(仮) 2024/10/05(土)01:07:53
担当おいてキャンプいってんじゃねぇ
18: 名無しさん(仮) 2024/10/05(土)01:09:31
何の何のナニ!?
19: 名無しさん(仮) 2024/10/05(土)01:10:06
まぁ健全な話だった