【ウマ娘怪文書】「何この大量の唐辛子」今日も今日とて金欠のナリタトップロードのトレーナーだが、そんな彼でも唐辛子で腹いっぱいになれと言われても困るわけで…

「何この大量の唐辛子」
今日も今日とて金欠のナリタトップロードのトレーナー。おかげでここ最近自炊三昧だが、そんな彼でも使う食材の種類や量は自由に決めたい。ましてや、唐辛子で腹いっぱいになれと言われても困るわけで…
「作りすぎちゃって…トレーナーさん金欠だって言ってたし食材いっぱい持って行ったら消費してくれるかなって…」
申し訳なさそうに笑う愛バとそんな彼女の前に堆く積まれた唐辛子、唐辛子、唐辛子。余りに余ったこれを消費してほしいという直々のお願いであった。
「ニンニクだけじゃなく唐辛子も余らせるほど作ったの？」
「面目無いです…」
現在、トレセン学園では農業が一大ブーム。その一環でトップロードも友人達と作物を作ったのだが、ニンニクを大量に余らせることになり、どうにか消費出来ないかとトレーナーに泣きついたのがつい先日。同じ流れで今度は唐辛子を大量に持ってきた。
「唐辛子も嫌いじゃないけどこの量はちょっと…」
「やっぱり食いしん坊のトレーナーさんでも無理ですか？」
「食いしん坊でも許容量はヒト並なの。こんな量一気に食べたら次の日お尻が死んじゃう」
「やっぱりヒトは脆いですね」

「消化されないカプサイシンが胃腸まで直に行って粘液を刺激した結果だから、ヒト関係なくウマ娘もタダじゃ済まないよ」
「何事も食べ過ぎは良くないってことですね」
「そうだね。そもそもね、君達が余分に作ったから食べ過ぎなきゃ消費出来ないような状況になってるわけで、責任は君達にある。前も言ったけど、幾らかのお裾分けなら俺だって喜んで受け取る。でもな、消費を完全に人任せにするのは間違っている。育てて来た命に対して失礼だし生産者としての視点で見ても……」
「あれを見てください」
何やらお説教モードに入りそうなトレーナーを遮って、トップロードが指さした先には体育座りで蹲るメイショウドトウがいた。
「どうしたのあれ？」
「唐辛子の消費も兼ねて、せっかくだからドトウちゃんのトレーナーさんにも食べてもらいたいと襲来！鬼ヶ島麻婆豆腐を作ったんです。辛さマシマシで」
「ああ、それで自分のトレーナーのお尻を破壊しちゃったとか？」
「いえ、普通に食べたくないと断られて凹んでます」
よく見ると数m離れた所に彼女のトレーナーが微動だにせず立っていた。瞬きもせず、ジッとドトウを能面の張り付いたような真顔で見つめていた。

「いや怖。何アイツ」
「きっとドトウちゃんの再起を待っているんだと思います」
「自分で叩き落としておいて？……いや、でも自炊あるあるだな」
「食べるの断られた後付かず離れずの距離でガン見されることがですか？」
「そっちじゃなくてね？1人で食べる為に作るのと違って、誰かと味を共有する時は相手の味覚のことも考えないといけない。相手が自分よりしょっぱい方が好き、甘い方が好き、そういう好みの差で感じる美味しさにも差が出てくる。ドトウの失敗はそこで、自分のトレーナーが自分と同じように辛いものを食べられると思ったのが良くなかったな」
「待ってください。私はよくトレーナーさんのお料理を食べてますけど、そういう差を感じて美味しくないって思ったこと一度もないですよ？」
「そりゃ俺が君の好きそうな味付けで作ってるからな」
「え？」
「え？」
「………」
「………」
「……話を戻すぞ？おい、そのニヤケ面やめろ！ニヤけたままにじり寄って来るな！まったく……どこまで話したっけ？そうそう、だから自分以外の誰かに作る時は相手の好きな味と自分の好きな味を擦り合わせて、考慮する必要もあるってわけだ」

「私に作るみたいにですか？」
「揶揄うな！もう作らないぞ！」
「照れないでくださいよー。じゃあドトウちゃんもドトウちゃんのトレーナーさん好みの味が分かれば！」
「食べてもらえるかもね」
「やったー！で、ドトウちゃんのトレーナーさんの好きな味は？」
「知らん」
「それが分からなきゃドトウちゃん再起出来ないじゃないですか！」
「何度も作って食べさせたい人の好みを見つけるのも自炊の醍醐味だ。2人の食卓にあまり介入するのも良くない」
「じゃあせめて何かレシピを提案してあげませんか？辛くても食べ易いやつ！せっかくだからこの大量に余った唐辛子を使いましょう！」
「急に無茶振りを…前もらったニンニクもまだ消費し切れてないのに」
「じゃあニンニクも使っちゃいましょう！」
「唐辛子とニンニクの組み合わせと言われたら俺もう料理1つしか思い浮かばないんだけど…」

−ペペロンチーノ−
材料：パスタ（お好みのものを）塩、ニンニク、唐辛子、パセリ、胡椒、麺つゆ、オリーブ油

?パスタを茹でる。この際、茹で時間は表記より1分程短いと良い。
?ニンニクは微塵切り、唐辛子は細かく輪切りにする。唐辛子の種は入れると辛くなり過ぎるので今回は外しておく。
?フライパンにオリーブ油を敷き、弱火でニンニク、唐辛子を熱する。加熱され過ぎると苦味が出るので注意。
?香りが立ってきたら刻んだパセリ（ドライパセリでも可）を加え、パスタの茹で汁と麺つゆを投入。混ぜながら乳化させる。
?パスタを戻し、軽く水分を飛ばして完成。お好みで胡椒をかけても良し。

※今回は材料少なめにシンプルなものを作ったが、お好みで色んな食材を追加しても尚美味しい。このレシピはあくまで一例なので悪しからず。
※乳化の方法には色んな種類があると思われる。このレシピはあくまで一例なので悪しからず。
※麺つゆを加えることで旨味の補填となる他、和風な味わいになる。パセリを大葉に変えるとより和風に近付く。ツナ缶を具材にするのもオススメ。邪道と思われるかもしれないが、このレシピはあくまで一例なので悪しからず。

「何か注釈多くないですか？」
「コイツと炒飯は下手すると喧嘩になるから……それよりドトウに早く教えてあげて」
「でも今ドトウちゃんのトレーナーさんがドトウちゃんガン見してて教えに行きづらくて…」
「じゃあ日を改めるか。レシピの話してたら食べたくなってきたし、今日の夕飯はペペロンチーノにしようかな」
「わぁ、賛成です！でもニンニクはあんまり多くない方がいいです！」
「ニンニクガッツリ食べるから美味いのに…でもまぁ、了解した。君の好みに合わせるよ。それも」
「自炊の醍醐味、ですものね！」
「そういうこと」
そういうわけで、その日はそのまま帰った2人だった。

後日……
「と、いうわけで自炊の醍醐味なんです！一緒に食べる人のことをすごくすごく思って作るんです！私のトレーナーさんみたいに！そうすればドトウちゃんのトレーナーさんもきっと食べてくれるはず！」
「わぁ〜勉強になりますぅ〜。それ私をダシにしてイチャついてませんか〜？」

おかしい…トプロがまともだと…？

ちょっとニンニクと唐辛子を増やしてアラビアータにするのも良いよね

アヒージョも浮かんだ

飯を食べちゃいけない時間ににペペンチーノのレシピを出すなんて…

あいついつもドトウが苦しみながら足掻く姿を眺め続けてるな

冷凍のパスタがたしかあったな…食うかな

ニンニク唐辛子消費で調べてしまった
明日1人で中華料理屋行こう

出会った当時も椅子を壊しては治す様を半日くらい眺めてたからなドトトレ…

ペペロンチーノ･･･素パスタより贅沢な