もしトラブルに見舞われたなら思考すら満足に働かないであろう。そんなとき明暗を分けるのが積み重ねた練習だ
『大波乱のレースも終盤戦に突入!っとここで一人、追い上げてきたぞ!?』
「そこだ……!いけーっフラワー!!」
この日のメインレースは芝の短距離。一瞬のミスが勝敗を分ける短期決戦である
大本命と思われた幼き優駿ニシノフラワーであったが隣接するウマ娘につられてゲートに衝突。大幅な出遅れを喫した
こめかみからの出血により片方の目が見えない中、彼女は果敢に追い上げ先頭に食らいつく。そして……
『届くか?届くか!?……先頭を差しきってゴーーール!!
スタートの不利をものともせず、電撃戦を制したのはニシノフラワーです!!』
「っ……!……はぁっ、はぁっ……間に……あっ……」
「フラワー……っ!!」
辛くも勝利を収め、コースから外れたところで足をもつれさせたニシノフラワーを支えた者がいた
ヒトミミの遅い足でよちよち駆け寄った彼こそはニシノフラワーの担当トレーナーである
レース場は決着の歓声から一転し、どよめきに包まれ始めていた
『こうして並んでいると犯罪的な体格差ですね。私の性癖には合っていますよ』
出血量の割に傷口は浅かったが、トレーナーにとっては十分に痛々しいものに違いない
彼はウマドレナリンが痛みを緩和している間に治療を済ませると、今度は意識朦朧とするニシノフラワーの気つけにかかった
『どうやら治療が終わったようです。しかしニシノフラワーはよく片目の見えない状態で好走出来ましたね』
『それほどにペース配分を体に染み込ませていたんでしょう。相当な練習を積んできたのがうかがえます』
極力頭を揺らさぬよう、肩を掴んで呼びかける。二度、三度と力強く名前を呼んだとき、ニシノフラワーは目を覚ました
「あれ……?ここは……」
「ょ……よかったぁ!フラワー、気分は悪くないか?どこか痛いところは!?」
「トレーナー……さん……んっ」
「フラワー?大じょ……っっ!!」
意識を取り戻したものの未だ焦点の定まらぬ目で虚空を見つめるニシノフラワー
その目がぼんやりとトレーナーの輪郭を捉えた時、少女は慣れた手つきで彼の首に手を回し……その唇を奪った
「優勝おめでとうございます。ご感想をどうぞ!」
「と、トラブルもありましたが、練習の練習の成果が出せたと思います!」
「ありがとうございました。ではご感想をどうぞ!」
「えっ!?……こ、今度は周りに惑わされないように、スタートの練習も重点的に……」
「ご感想をどうぞ!」
「…………うまく言えないんですが……ぽーっとして、ふわふわして……き、気持ちよかったです」
「優勝者ニシノフラワーさんのインタビューでした。皆様、拍手をお願いいたします!」
その言葉を合図に客席からは今日一番の拍手喝采。『かわいい〜』の大合唱がレース場の外まで響いたという
思考すら追いつかぬ極限の状況下、最初に反応するのは体に刻み込まれた反復行動である
だからといって体格差の著しいカップルが目線を合わせた時にしばしば起きる行動を無意識に起こしたとしても、その常習性を疑う根拠にはなりえないので注意していただきたい
>ヒトミミの遅い足でよちよち駆け寄った彼こそはニシノフラワーの担当トレーナーである
これでも急いでんだよ!ほっとけ!
おい実況
>だからといって体格差の著しいカップルが目線を合わせた時にしばしば起きる行動を無意識に起こしたとしても、その常習性を疑う根拠にはなりえないので注意していただきたい
本当か〜?
欺瞞!
ほんとかー?本当に単なる偶然なのかー?
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タマモクロス天皇賞春秋連覇
かわいい〜
見て!フラワーさんがちっちゃいおくちでトレーナーさんの鼻とか唇に吸いついているよ!
かわいい〜
推せる〜
>「優勝おめでとうございます。ご感想をどうぞ!」
「ありがとうございました。ではご感想をどうぞ!」
「ご感想をどうぞ!」
出血
よくあること
公式メディアなのになんであそこだけビックリするくらい民度低いの…
そんなこと書いてなかった
そんなとき明暗を分けるのが積み重ねた練習だ
単にトレーナーが屈んで届くところに顔が来たら合図なのでは
トレーナーの顔を掴んだら離しませんよ
かわいい〜
かわいい〜
ヒソヒソ…タマモクロスよ…
自分がしてるからって…ねェ…