「……んぁ……寝落ちしてたか……」
眠気で霞がかった頭。目の前には次のイベントの企画書を映し出すモニター。いつの間にかに一時間進んでいる時計。そして空腹を訴える腹と──
「これ……タルマエか」
机の脇にラップのかかったおにぎりと、『無理は厳禁ですよ』のメモ書き。さらにかけた覚えのないタオルケットが膝に。心の中でタルマエに感謝を告げておにぎりを口に運ぶ。程良い塩気が身体に染みる。あとほんのもうちょっとだけ頑張ってみようと、背中を押してくれる活力が湧いてくる。
「け、けっこ……わ、わた……」
雪のように白い肌が、茹で蛸のようになっている我が愛バ。今の、もしかして聞いてた?──などとは、言うまい。言うまでもない。むしろ言ったら藪蛇だ。ここで、俺がするべきことは──
「どうしたのかな、タルマエ。何か忘れ物?」
「ぁ、は、はい。うっかり、スマホ忘れちゃって」
座り直して、部屋の隅のコンセントに目線を向ける。確かにそこには見覚えのあるタルマエのスマホが充電されていた。一息付いて、腰を上げて、タルマエのスマホと充電器を手に取る。
「なるほど。はい、これ。あとおにぎり美味しかったよ、ありがとう」
「あ、はい。口にあったようで何よりです……で。それで、結婚って」
──ダメだった。押しきれなかった。
「一人なのに、ですか」
「……つい、うっか」
「一人なのに、つい出ちゃったんですか。それって、本心ですよね」
「……」
スマホを受け取り、そして俺の手を掴むタルマエ。食い気味に俺の発言に被せて来るタルマエ。逃げを封じる番手追走先行策。逃がさない。そんな声が聞こえる気がする。
「しましょう、結婚」
「落ち着こう、タルマエ」
「そうですね。落ち着きましょう、家を買って。白いお家に、豊かな自然に囲まれて。男の子が一人、女の子が二人で、ワンちゃんを飼うのもいいですね」
「落ち着こう、タルマエ……!」
「ぐっ!?」
ソファに沈む背中。タルマエの柔らかい重さが乗るお腹──逃げることはできない。大事なのは、完全にかかり気味になったタルマエを、どうやって落ち着かせるか。
「……落ち着こう、タルマエ! もうちょっと、段階を踏んで」
「そうですね。じゃあ、踏みましょう。今、ここで」
もしかして──詰み、だろうか。
ぎしり、と。ソファが軋む音が妙に大きく聞こえて──
同僚のトレーナーから流れてきた噂に呆れて溜息が出てしまった。当のホッコータルマエとその担当トレーナーは長期休暇を取って苫小牧に旅行中であるが、妙に信憑性が高いような感じはする。
余りにも迂闊であると感じるが、気持ちはわかる。ウマ娘はみんな直向きで、女性としても魅力的な子が多い。いつの間にか、そういった対象として惹かれてしまうことはよくあることらしい。
「……まぁ、俺はそういうわけにはいかないけど」
俺の担当ウマ娘は今をときめくスーパーウマドル。恋愛は余計な斤量を背負わせることになるだけだ。
……ああ、でも。許されるなら、俺も──
「……ファル子と、結婚してぇ……」
「……えっ」
「え」
同僚のトレーナーから流れてきた噂に呆れて溜息が出てしまった。当のスマートファルコンとその担当トレーナーはライブの下見と称して長期休暇中であるが、妙に信憑性が高いような感じはする。
余りにも迂闊であると感じるが、気持ちはわかる。ウマ娘はみんな直向きで、女性としても魅力的な子が多い。いつの間にか、そういった対象として惹かれてしまうことはよくあることらしい。
「……まぁ、俺はそういうわけにはいかないけど」
俺の担当ウマ娘は今をときめくウマスタグラマーにしてカワイイの求道者。恋愛は余計な斤量を背負わせることになるだけだ。
……ああ、でも。許されるなら、俺も──
「……カレンと、結婚してぇ……」
「……えっ」
「え」
同僚のトレーナーから流れてきた噂に呆れて溜息が出てしまった。当のカレンチャンとその担当トレーナーは香港に旅行中で、信憑性は高く感じる。
余りにも迂闊であると感じるが、気持ちはわかる。ウマ娘はみんな直向きで、女性としても魅力的な子が多い。いつの間にか、そういった対象として惹かれてしまうことはよくあることらしい。
「……まぁ、俺はそういうわけにはいかないけど」
俺の担当ウマ娘は華麗なる一族の責務を背負うもの。恋愛は余計な斤量を背負わせることになるだけだ。
……ああ、でも。許されるなら、俺も──
「……ルビーと、結婚したい……」
「……それが、あなたの望みであるのならば……」
「え」
──というようなことがあったらしい、と──
──というようなことがあったらしい、と。
しかし俺の担当ウマ娘は風水をみんなに広めてハッピーを伝えていかなければならない。
ああ、でも許されるなら俺もリッキーと──
ファイトレ著:「王家と歩むトレーナー人生」より抜粋
10ヶ月ほど…
やめろよキングヘイローの母じゃあるまいし
キングヘイローの母じゃあるまいし
😭
言ってもいいけどせめて背後というか室内を警戒しろ
つい本心が出た日の朝に学園から飲み物とか配られてない?
(既に旅行に行っていて居ない)
トレーナーさんは…言って…くれないのですか…?
(トレーナーが疲れているタイミングを見計らって珈琲の差し入れを準備するカフェ)
👻🤜
じゃあ問題ないな!
(とっくに覚悟を決めているので動じないモルモット)
いやこんな俺じゃ女帝の杖たりえないな!もっと頑張ろう!
たわけ〜〜〜!!!!!