空は蒼く高く、どこまでも広がっていた。
「すみません、私の担当の子のトレーニングの事で助言を頂けないでしょうか?」
「あの追込の子かな?これを片付けたら向かうからちょっと待っててね」
「はい、いつもありがとうございます!」
ミスターシービーの走りに夢を見て共に歩んだ日から3年が過ぎた。
俺は若手トレーナーの指導という新しい道を歩んでいる。今、俺の隣に天衣無縫な彼女は居ない。
日本各地のフリースタイルレースを見てみたくなった。とシービーはいつもの笑顔で俺に言った。
『シービーが楽しく走り続けられるなら俺は背中を押すよ。行ってらっしゃい。』
いつかそんな日が来る予感があった。俺の元から離れて自由に気の向くまま大地を弾んで駆ける時が来るのだろうと。
でもそれでいい。だって俺はそんな彼女が―― 彼女の走りが――好きだったから。
若手トレーナーへの指導をする中でシービーとの日々を思い出す事がある。
そもそも皆真面目で校則を破ることはほぼ無い。シービーへ接してきたやり方をうっかり口にしてしまい指導のギャップに驚かれる事もあった。
「そういえばトレーナーさんって新しく担当は持たれないんですか?」
「っ… ほら、シービーがいつ戻ってくるかも分からないし、それにこうやって教えてると俺自身の勉強にもなるから」
時たま訊かれる質問だった。俺は半分本心で半分繕ったこの答えをいつも返している。
彼女がそもそも戻ってくるのかも分からない。ルドルフ会長の計らいでシービーは形式上休学となっているが、長引けば退学扱いにせざるを得ないとも言っていた。
いつ戻ってきてもいいようにというのは本心だが、もう半分の本心は「シービーのトレーナー」で居続けたいという子供じみた理由だった。こんな理由は誰にも話せなかった。
盆東風が顔を撫でる。西の空の入道雲が大きくなっていった。
「はぁぁあああ!!!」
最後の直線を駆けあがる。幾人の背中を追い越して先頭に躍り出る。楽しい。アタシは今ターフという自由の中にいる。
「ミスターシービー、8バ身差を付けての圧倒的勝利!!ここでは敵なしか!?そして2着は――」
実況の着順アナウンスが響く中、アタシは心地いい疲労の中で息を整えていた。
「いやー、参った参った。本当に速いねぇ」
2着の子が肩で息をしながらアタシの所へ駆け寄って来た。
「アンタ中央に居たことあるんでしょ?何したらそんなに速く走れるようになるんだい?」
「うーん、好き勝手に色々と?」
「えー何それー?」
アタシは今トレセン学園を離れてフリースタイルレース場を巡っている。
中央ほど整備されていない荒れたバ場、ギラギラした眼をしているウマ娘達、中央のレースとは一味も二味も違うけれどだからこそ楽しかった。
理由は「そうしたくなったから」としか言えなかった。
コースがあって、走りたいと思う面子が揃えば何処でもレースは出来る。格付なんてどうでもいい。
そういえばキミは言ったよね「アタシが走ると世界が広がる」って、だからかもしれない。
ほかにどんな世界があるんだろうって覗いてみたくなったのかもしれない。
けどそれって、キミの錘の影響を受けちゃったってことになるのかな?よくわからないや。
ポツポツと降っていた雨は勢いを増していた。急いで屋内に戻ろうとした時、心の端の方で何かが痛んだような気がした。
街中で流れるクリスマスソングはまだ聞き飽きてなかった。
忙しさの中であの3年間は綺麗な思い出に代わっていくのだと思っていた。いや、そうなって欲しかった。
ふと蘇るシービーとの思い出は俺の心を痛めるだけだった。
分かっている。この痛みの正体が何であるのか。だからこそこの想いは潜めなければならなかった。
俺は「ミスターシービーのトレーナー」だ。彼女の自由を肯定し、彼女が自由に楽しく走り続けていてくれればそれでいい。何処に居ようとも。
「だからこれでいいんだよな…?」
俺は鈍色の空を見上げていた、雪は深々と降り白い息が空へ上っていった。
キミを思い出す度に襲ってくる心の痛みが何なのか分からない。理解しようとする事が怖い。理解できるのかが怖い。
欠けているかもしれないアタシが抱いてもいい感情なのか分からない。
アタシは「キミの担当ウマ娘」だ。アタシが自由に走る事でキミに夢を見せ続けられる。キミの世界を広げられる。キミがそばに居なくとも。
「だからこれでいいんだよね…?」
アタシは鈍色の空を見上げていた、雪は深々と降り白い息が空へ上っていった。
新年が明日に迫った今日、俺はあの河川敷に足を運んでいた。シービーの背中に乗って彼女の視点を垣間見たあの河川敷だ。
最後に気持ちの整理をつけるなら此処しかないと思っていた。
懐かしい光景が目の前に広がる。お母さんとお父さんには事の顛末を語らなければならなかった。
勝手に学園を離れたこと、そして3年間ともに歩んだあのトレーナーとも離れた事を。きっとがっかりされるだろう。
最後に思い出を噛み締めたかった。キミを背負って駆けたあの河川敷で。
「あ…シービー?」
「え…トレーナー?」
もう出会う事も無いと思っていたはずなのに運命とは数奇なもので。
声は平静を装って。
「年末はお父さんお母さんに顔見せようかなって思ってね…」
声は平静を装って。
暫く沈黙した後
「な、なぁシービー!」
「ねえキミ!」
お互い声が上擦っていて
らしくない声色が響いた瞬間、全てが判った気がして
………
まだ幼いウマ娘が母親に問いかける。
「さぁ、どうなったんだろうね?さ、グローちゃんそろそろお休みしよっか?」
「ふわぁああ…はぁい…」
子供とその母親はすでに眠りについていた父親の所で川の字になって幸せそうに眠りについた。
今の清い距離感のまま居続けて欲しいという気持ちがある一方と両親みたいにはよくっ付けよって気持ちもあって
それを混ぜ合わせたらよく分からない駄文が出来上がった
過去のシービー怪文書読んだ事あるけどなんで実装前であんなに高解像度な文章書けたの…?って本当の怪文書はすごいなと思いましたまる
実際くっついたらどうなると思う?
あと子供に対しては物凄く子煩悩になりそうなイメージある
学校行かなくていいよ?お母さんと遊ぼっかとか言いそう
だからこそCBと相性がいいとも言える
CBはサバサバしてるからあんまりそういう要素は無いんだろうなと思ってたら家にはよく行くわCB父母はトレーナーと担当だったわバレンタインとクリスマスはいろんな意味で凄いわでいい意味で驚かされたよ
まだ温泉見てないからそっちも楽しみではある
世話を焼くわけじゃないけど結構行動は気にしそう
そのうち珍しいお土産と共に帰ってくる
子供に対しては正反対に振る舞いそうにも思う
規則や決まりを守らないってわけでもないと思うけど…
ふらーっと旅に出て帰ってこないお母さんみたいなのが想像しやすい
強くて高潔な精神性を持ってそうだ
アストンマーチャンとかヤマニンゼファーの温泉イベントみたいな破壊力がある
勝負服のデザイン決めるイベントで下の選択肢選んだときにちらっとトレーナーのこと見るのも良い
しょっちゅう二人でドライブデートしてるけど
ドライブというシチュエーション上大人しく見えたのかも…
不意打ちでツーショットってずる過ぎる
ただ思う様好き勝手する子ではないんだと思う