「あっつぅ……そうだ、トレーナー。メジロの保養地でのんびり海水浴とかどう?」
「おぉ、いいなぁ! 連れてってくれるのか?」
「あっうん。え? マジで来る?」
実を言うとほとんど冗談だったんだ。メジロジョークってやつ? だってプライベートビーチに行こうなんて誘い、ほとんどナンパみたいなもんだし。まさかトレーナーが目を輝かせて乗ってくるとは思ってなかった。
「えーっとさ……ヘリオスたちも誘ってないし、行くとしたら私達だけで行くことになると思うんだけど……それでもいい?」
「もちろん! 貸し切りの海なんて初めてだから楽しみだな?」
真っ直ぐな目でトレーナーが私を見てくる。ウソ、私のトレーナーチョロすぎ……!? ウマ娘と二人きりでプライベートビーチってかなり刺激的なシチュエーションのはずだし、二人っきりって念を押しているのにそれでもいいってことはもうその気があるってことかな。ってかそういうことでいいんだよね?
「今週末ならレースもないし予定が空いてるぞ」
そんなこんなでトレーナーとのビーチデートがあっという間にセッティングされてしまった。私としてはぜんぜん構わないと言うか、むしろウェルカムなんだけど、本当にいいんだろうか。
……⏰
「……ねぇ、本当によかったの? 私と二人だけで海なんて」
「心配しなくても大丈夫だよ。楽しみすぎて寝れなかったくらいだから」
この質問もここ3日で7回目。めんどくさいのは自覚しているんだけど、それでもどこか信じられない。二人で海だなんて、もうカップルみたいなものだ。
パーマー号を飛ばして海岸沿いを走って。荷物をメジロ家が所有するリゾートホテルに預けて二人でプライベートビーチに向かう。水着は気合を入れて選んできたし、準備は万端……だよね。
「うぉ……本当に俺たちだけなんだな。すごい」
「でしょでしょ? この浜辺、全部私達の貸し切りってワケ!」
テンションが上がっているトレーナーを見て、こっちも嬉しくなる。あぁ、やっぱり誘ってよかった。
私もテンションが上がっちゃて、日焼け止めクリームを片手にナンパのモノマネをしてみる。こういうのもギャルっぽいよね。
「あぁ……いや、そういうのは自分でやったほうがいいと思うぞ」
もしトレーナーが顔を赤くして逸していなかったら、落ち込んでいたかも。でも、トレーナーが露骨に照れてくれたから、むしろ意識されてるって分かって嬉しかった。
「トレーナー……こういうの、初めて?」
「あんまりからかわないんでくれよ」
「ふーん……そっかそっか。それじゃあ私も初めてだからお互い様だね!はい、ヨロシク!」
トレーナーの手に日焼け止めクリームを握らせて、くるっと背中を向ける。
「ほらほら、早く塗らないと日焼けしちゃうよ? 跡が残ったら流石にパーマーさんも恥ずかしいなぁ」
「わかったよ……それじゃあ、ちょっとだけな」
私が思わず声を漏らすとトレーナーが手を離そうとしたので、思わず手首を掴む。せっかくなら、もっともっと君を感じてたいな。
「ねぇ、もっとちゃんと塗ってくれないと跡になっちゃうよ?」
それからはもう、止まれなかった。彼も本気で拒絶はしないし、周りには誰もいないし、太陽は私の思考を溶かしていく。彼の手に私の手を重ねて、体の隅々まで触れてもらう。ときおり彼が手を離そうとすると、その度に日焼け止めを彼の手に乗せて作業を続ける。私たちはすっかり息があがっていた。
「パーマー……もうこれ以上は……!」
「うんうん。じゃあ今度は私の番だね」
「いや、俺はいいよ」
「そんなことないない! 男の人だってお肌は大切にしなきゃ駄目だよ? それに、周りには誰もいないから……ね?」
太陽が照りつける中、私はトレーナーをブルーシートに押し倒した。両手にたっぷりとクリームを乗せて、彼の胸板に押し付ける。彼はやっぱり拒もうとはしなくて、ただ恥ずかしそうに視線をそらした。誘い上手だね。
「君の方こそ」
「暑いからじゃないかな……うん、きっとそう」
だから、これから起こることも全部夏のせいだから。
……でも、本当は。全部全部トレーナーのせいなんだよ? ここまで二人っきりで来たのも、私が止まらなくなったのも。
だからさ、責任取って、私と夏の楽しいこと、全部しよ?
こういう掛かりウマ娘が好きです。
メジロってなんだ
メジロを何だと思っているんだ…
思春期乙女
それに二人っきりでいくお誘いにok出すとかそういうことでしょ
>メジロのプライベートビーチってそういう用途のだし
しれっと何か知らん設定が…