そんな中でひたすら砂浜を走っている一人のウマ娘に向かって、俺は大声で呼びかける。
「よし! それじゃ往復ダッシュあと十本!」
「ひいいぃぃ〜!」
それを聞いたウマ娘――ライトハローが返事の代わりに悲鳴に近い呻きを返してきた。
太陽がまだ赤くなかった時間から今までずっと練習を続けてきた。その疲労の蓄積でそろそろ限界が近いからだろうというのは俺にもわかる。
しかし、ここで甘やかしてはいけない。何故なら彼女はウマ娘としての最難関である中央トレセン学園入学を目指しているのだから。
これくらいで音を上げていてはトレセン入学など夢のまた夢だ。
そして、何より俺自身も――。
「な、なんでぇ、私ばっかり走りっぱなしでぇ……! ハァ……ハァ……ゆっ……ゆっきーは指示してくる……だけなのぉ……!? ズルいよぉ……!!」
「仕方ないだろ。ハローはトレセン志望のウマ娘で、俺はトレーナー志望なんだから。ウマ娘とトレーナーっていうのはそういうもんだ」
だからこそこうして、まだ資格は取得していないものの、トレーナーの教本を読んで学び、身につけた知識に基づくトレーニングをハローに施している。
本来推奨される行いではないだろうが、そこはまあお互いにまだ見習いの身だから許される――と思いたい。
何より気心の知れた幼馴染み同士だ。互いに同意の下で、ある程度の信頼があれば大丈夫だろう。恐らく。
「というわけで、ペース落ちてるぞハロー! もっと気力を振り絞れ!」
「うへぇぇ〜! ゆっきーの鬼ぃ〜! 悪魔ぁ〜!」
二人しかいない砂浜にハローの情けない悲鳴が木霊した。
最後に抗議するかのようにそう叫びながら、立ち止まったハローは仰向けに砂浜へ倒れ込んだ。
「そうだな。流石に今日はもう無理そうだ」
肩で息をしているハローの様子を見て、俺も素直にそう認める。
だが、見習いとはいえトレーナーとしてはここで甘やかし過ぎてもいけない。ので、俺は解放の喜びに満ちた顔を向けてくるハローの視線を誘導するように空を見上げる。
「……あっ――」
素直に釣られてくれたハローも同じく空を見上げて、ようやく気づいたらしい。
いつの間にか日はすっかり落ちきって、代わりに海岸を照らしてくれていたのが満点の星空であることに。
「そんなことないぞ。ハローの体力が保つようになったなら星空の下でも走らせる」
ジト目で睨みつけてくる幼馴染みに、俺はしれっとそう応じる。
ハローは信じられないといった顔でしばらく口をパクパクとさせていたが、結局言い返すのを諦めたらしい。
代わりに視線を再び夜空に移して、大の字で寝転がりながらぼんやり眺め始めた。
俺も無言でその傍らに立ち、同じように見上げる。俺達の地元は星が綺麗に見えることで有名なだけあって、吸い込まれそうな程に美しく煌びやかなもう一つの海がそこに拡がっていた。
「……ゆっきーはさぁ」
星を見上げたままで、おもむろにハローが尋ねてくる。
「どうしてトレーナーになろうと思ったの?」
「才能があるって言われたからだよ」
「誰に?」
「君のお袋さんに」
「……えっ、それだけ?」
「ああ」
嘘は言っていない。思い立った切欠は本当にその一言だった。それは確かだ。
スポーツはそれなりに得意だし好きだが、それ以外に別段これといって取り柄もない。極々平凡な男子中学生、それが自分だ。自覚はある。
そんな人間だから、誰かに才能があると太鼓判など押されたらひとまずそれに縋ってみたくもなるというものだ。
「はぁ〜……思い切りがいいというか何と言うか……まったく、そんなことで将来決められちゃったら敵わないんですけど〜?」
呆れたような、あるいは感服しているかのような、もしくはその両方が混ざり合ったような態度でハローがそう言ってきた。
それに対して俺は敢えて無言。嘘は言っていない。
……確かに言っていないが、同時に敢えて隠していることもある。
ライトハローのお母さんから勧誘を受けた時に告げられた誘い文句のもう一つ――『トレーナーになれば綺麗なお嫁さんも貰えるわよ』というもの。
それもまた自分の心を大きく後押ししたことは、ささやかな男の見栄として黙っておこう。うん。
「…………」
俺が黙ったままでいると、結局ハローもまた黙り込んだ。
二人で何も言わずにしばし星の海を眺める。そのあまりの美しさは、言葉を忘れるのに十分すぎるものだ。
思わず真剣に見入ってしまいかけた。ハローが再び口を開いたのは、そんな時だった。
「うん?」
「綺麗だねぇ……」
「……ああ」
うっとりとした顔と声でそうこぼすハローに俺も心から同意する。
「――私も……」
それからハローはそのまま夜空へ向かって手を伸ばしながら、ぽつりぽつりと言葉を足していく。
「あんな風に、輝く星になれるかなぁ」
その声には美しい星々への羨望と同時に、抑えきれずにこぼれた不安が混ざっているようだった。
だから――。
俺は努めて平静さを保ったままで、告げる。
「"なれるか"じゃなくて、"なる"んだよ。それくらいの気持ちでいないと、トレセン入学なんて夢のまた夢だぞ」
それを聞いたハローはといえば、
「……!」
少し驚いたような表情をしてから、次に柔らかい微笑みを浮かべてこっちを見てきた。
「……なんかさ、お母さんがゆっきーに才能あるって言ったの、ちょっとわかったかも」
俺は内心のそんな動揺を表に出さないよう努力しつつ、
「……まあ、ハロー一人じゃ無理かもしれないなら、俺がトレーナーとして押し上げてやるさ」
そんな憎まれ口で誤魔化した。そっぽを向きながら。
それを聞いて怒ったようにそう言いながら、ハローがガバッと起き上がる。
もちろん本気で怒っているわけではないことくらい、微笑んだままの表情からわかっている。
わかってはいるが――そこからウマ娘の腕力で突然持ち上げてきて放り投げるのはやめて欲しかった。仕返しとじゃれ合いのつもりだろうとはいえ。
驚く間もなく宙を舞った俺は砂浜ではなく浅瀬の海中に着水し、大いに慌てふためきつつもどうにか立ち上がる。
「あははは! 散々しごいてくれたお返しだー!」
そうしている間にハローもこちらに走ってきており、そのままの勢いで海に飛び込んできた。
ばしゃんと水飛沫が上がり、それがこちらにまで飛んできて再び全身を濡らす。
それどころか、ハローは楽しそうに笑いながら両手で更に水をかけてくる。
もちろん俺だってやられっぱなしというわけではない。やけっぱちな気分ですぐさまそれに応戦する。
「その時はゆっきーに担当してもらうからいいもーん!」
そうしてしばらく二人で笑いながら、水かけ合戦をすることになった。こんなのもまあ、いつものことだ。昔から。
俺は呆れつつも、年相応に幼馴染みとのじゃれ合いに熱中する。
そして、そんないつものやり取りを楽しみながらも、心の中で静かに思う。
満点の星空の下で、弾けるような笑顔を見せているハローを見ながら、思う。
さっきハローに言っていないこと、言わなかったことはもう一つあった。
心配する必要なんてないんだ、と。
ハローは――ライトハローというウマ娘は、もう輝いている。
夢に向かって毎日ひたむきに一生懸命この砂浜を走っている君は、俺にとってあの星々に負けないくらい眩しいスターウマ娘なんだ。
――ということは、まだまだ本人には告げずに隠したままにしておこう。
言うのが照れ臭いからじゃない、こんなところでおだてられて調子に乗られると困るからだ。
そういうことにしておきつつ、俺は視線の先に佇む、星の海と溶け合うようなその光を――それを、これからもずっと眺めていける未来を密かに願った。
最近のブームであるライトハローさん幼馴染み概念があまりにもぶっ刺さってしまって気がつけば怪文書を書いていました。
ちなみに幼馴染みの少年の名称はあくまで便宜上のものであり、実在の人物とは一切関係がありません。
>ちなみに幼馴染みの少年の名称はあくまで便宜上のものであり、実在の人物とは一切関係がありません。
全然そんな気がしないのよね…
アタシたちもアルミホイル被るわよウオッカ
今ふわふわって
アヤベさん今は静かにしてよう…?
トレーニング前に友達とスイーツ食べて遅刻してトレーナーに怒られるのよね…
マヤが代わりに謝ってあげるね!
俺が英明を無理やり連れだしました谷先生すみませんでした
最後まで皮を被れ
谷先生なのよね…
同級生が担当出来るわけないのよね…
どうしたい?言ってごらん
心の声がする
君の隣がいい
真実は残酷だ
なのよね…
こうして府中に送り出すのよね…
全てが繋がったのよね…
アルミホイル被った方が良いんじゃねえかな…
まずこれが最強なのよね…
かわりに別の娘にクリティカルヒットなのよね…
このウエディングドレス着て行くわよウオッカ、マーチャン
リーダーを取り囲んでライブよ
ライブ会場
栗東寮特設プロレスリング
スイープトウショウ vs スティルインラブ
((🔔))💥🔨
育成時空では応援してるからなリーダー!
チームリリィ!ふぁい!おー!
フフフフフ…何ですかその花嫁衣装…
次第に調教乗らなくなったけど所属厩舎の若手がラ…ムーンライトローズなんて
コネで入ったような期待されてない馬の調教乗ってないわけがないのよね…
このトレーナーの顔がワンダーアキュートのトレーナー並にはっきりイメージできる
男前なのよね...
「英明ってみゆぴーなんて呼ばれてるんだ、オレもみゆぴーって呼ぼうかな?『みゆぴー☆』」
ってしなを作って言うところは流石におっさん同士のイチャイチャが過ぎてやめた
最後まで皮を被れ
新キャラ込みのお牝馬チームだから活気づく要素自体はあったのよね…
全く関係ないところで盛り上がってるのよね…
98世代 ローズ
97世代with女帝 フリージア
おひんば リリィ
だから一番リーダー感あるのがスティルさんなのよね
幸さんは…
英明くんはね!
今日も徳山ボートレースの配信でいっぱい負けてましたね
マヤ知らないからそれハローさんにあげるよ
スティルの負の感情から生じたブラックホールに吸い込まれて行った
なんならハ×ウマでもお祭りなのよね…
その略称やめろスカーレット!!
スタミナの花嫁ウオッカ!
パワーの水着スカーレット!
賢さの花嫁マーチャン!
レンタルのマヤノトップガン!
友人ライトハロー!
GLUでチームリリィ!ふぁい!おー!
ふふ…誰か一人足りませんよ…
リーダー用のサポート体制なのよね…
花嫁と水着とマヤノで応援は完璧なのよね…
>レンタルのマヤノトップガン!
マヤ知らないよ
二人だけのときならいいと思うが…
だめ年頃の女の子を担当するならちゃんとそういうところは気をつけないと
みたいな会話を二人っきりでいるときにするのよね
ふふ…ふふふふふふ…
マーチャンも不覚です
ウワーッ!?煽るなよマーチャン!!
単にちょっと自己管理能力低いところを入れただけだと思ってたのよね…
だとしてもスイーツである必要はないのよね…
だからこうしてハローさんに入れるのよね…
ちゃっかりウマ娘である以上不可侵な因子を継承してるのよね…
umajoのみゆぴーと同じコーヒーとビスコらしきものが一コマにあるのよね…
もう全身アルミホイルになるしかないのよね…
ナリタトップロードなのよね…
後年G1目指すトレーナーになった男とレースで夢破れた女として再会するのいいよね…
担当ウマ娘は
ふふ…スティルインラブです。トレーナーさんの初めてのG1は、私が。
初めての女の座は取れないのよね…
私は、G1勝ってトレーナーさんがトレーナーであることを思い止まらせました。
リーダー!育成の時は応援するぜ!行くぞスカーレット!マーチャン!
チームリリィ!ふぁい!おー!
ウオッカの胃がそろそろ壊れそう
『地元の友達に見送られトレセンへ』
『トレーナーと里帰りして星空を見て実家へor友達に見せつける』
これが公式なのよね…あまりにも強すぎるのよね…
トレーナーも同郷だったなんて目が点なのよね…
これが叙述トリックってやつなのよね…
アタシも騙されたのよね…
なによ…すごくいい話じゃない…
開始の同期が若干不純じゃないかな…
マヤ知らないよ
でもエルフィーほど露骨ではなかったからこれが元馬かな?ぐらいで今まで収まってたのよね…
主戦や生産牧場や馬主に関しては一切目が向いてなかったのよね…
ゆっきーもそんなはずは…って思ってるのよ…
リーダーがお蕎麦煮てなかったらマーチャンもアルミホイル巻けってスカーレットに言ってたのです
ところがほんとにお蕎麦煮ていたので信じざるを得ないのです
どやや
ラブレターという武器だけではこの戦いについてこれそうもないのよね…
しあわせ会にダークホースが現れたのは何故か最近なのよね…
星が繋がって星座になるには見立てる発想力が必要なように繋げようとしなければ意外と繋がってることを見抜けないものなのよね…