1: 名無しさん(仮) 2022/01/20(木)01:24:54
2月14日。何処か浮ついた空気を纏う学園内を栗毛の少女が駆けてゆく
サクラバクシンオー…彼女もまた自らの担当トレーナーに対し
普段の感謝の意を込めたチョコレートを渡すべく彼のいる部屋へ向かっていた
無論皆の模範たる委員長である彼女の事
「私的な贈り物は学園の敷地外に連れ出せば渡してもOK」
そう結論づけた故に彼を誘導する腹積もりであった
トレーナー室のドアを開き
そして外へと駆けだす。彼が追ってきているかの確認はしない
激しくなった動悸のまま、踵を返し先行バの勢いで校門を抜ける
「ハッ…ハ… ハ…!」
扉を開いた先には無論、彼女の担当トレーナーがいた
…一緒に、彼へとチョコを渡している最中の彼女のクラスメイトもまた
「ハッ…!」
そこで目を覚ます。そこは大型のトロフィーの中
1月20日の、現実のトレセン学園の一角…
サクラバクシンオー…彼女もまた自らの担当トレーナーに対し
普段の感謝の意を込めたチョコレートを渡すべく彼のいる部屋へ向かっていた
無論皆の模範たる委員長である彼女の事
「私的な贈り物は学園の敷地外に連れ出せば渡してもOK」
そう結論づけた故に彼を誘導する腹積もりであった
トレーナー室のドアを開き
そして外へと駆けだす。彼が追ってきているかの確認はしない
激しくなった動悸のまま、踵を返し先行バの勢いで校門を抜ける
「ハッ…ハ… ハ…!」
扉を開いた先には無論、彼女の担当トレーナーがいた
…一緒に、彼へとチョコを渡している最中の彼女のクラスメイトもまた
「ハッ…!」
そこで目を覚ます。そこは大型のトロフィーの中
1月20日の、現実のトレセン学園の一角…
2: 名無しさん(仮) 2022/01/20(木)01:25:04
―ドリームトロフィー改
使用者の理想をシミュレーションし、その夢を見せる結果
目を覚まさないウマ娘が続出した為学園の倉庫に封印されたトロフィーである
来るべきバレンタイン
恐らく担当持ちのトレーナー達は契約バ以外からもチョコを受け取るだろう
その時の覚悟と耐性を付ける為に予め経験しておこう…
そんな理由で改良されたドリームトロフィーは今
バレンタイン当日苦い経験を担当持ちのウマ娘に体験させる演算装置と化した
「ええ!ええ!トレーナーさんが皆の人気になるというのは良い事です
それを先に体験できるというのであれば喜んで試してみましょう
はっはっは!何心配は要りません!バクシン!バクシーン!」
『甘く見るな』
珍しく真面目な顔でそう忠告してきたゴールドシップの制止を振り切り
試した結果身を起こしたバクシンオーの全身を倦怠感が襲っていた
じっとりと汗で濡れた掌と制服の内側
使用者の理想をシミュレーションし、その夢を見せる結果
目を覚まさないウマ娘が続出した為学園の倉庫に封印されたトロフィーである
来るべきバレンタイン
恐らく担当持ちのトレーナー達は契約バ以外からもチョコを受け取るだろう
その時の覚悟と耐性を付ける為に予め経験しておこう…
そんな理由で改良されたドリームトロフィーは今
バレンタイン当日苦い経験を担当持ちのウマ娘に体験させる演算装置と化した
「ええ!ええ!トレーナーさんが皆の人気になるというのは良い事です
それを先に体験できるというのであれば喜んで試してみましょう
はっはっは!何心配は要りません!バクシン!バクシーン!」
『甘く見るな』
珍しく真面目な顔でそう忠告してきたゴールドシップの制止を振り切り
試した結果身を起こしたバクシンオーの全身を倦怠感が襲っていた
じっとりと汗で濡れた掌と制服の内側
3: 名無しさん(仮) 2022/01/20(木)01:25:15
くわんくわんとする頭のまま身を起こすと誰かが自分を呼んでいる
恐らくは安否を気遣っているのだろう
だが自らの血流の音で上手く聞こえない
「大丈夫、大丈夫ですから。も、もう一度試すので」
驚くほど歯切れの悪い声に耳を疑う
らしくない。しっかりしないと
そう自分に言い聞かせながら再びトロフィーの底に横になり、目を閉じる
そして目を開けると再び彼女の姿は2月14日のトレセン学園にあった
懐にはバレンタインチョコ。既に早い動悸を抑え集中する
(バクシン…バクシン…バクシン…バクシン…)
駆け出す。甘い空気を放つ周囲を尻目に
一瞬だけドアを開ける事と躊躇った後…開ける
「…………………………あれ」
見間違いかと思った。そのせいで思考が停止し、暫く立ち尽くす
だがそこには誰も居なかった
恐らくは安否を気遣っているのだろう
だが自らの血流の音で上手く聞こえない
「大丈夫、大丈夫ですから。も、もう一度試すので」
驚くほど歯切れの悪い声に耳を疑う
らしくない。しっかりしないと
そう自分に言い聞かせながら再びトロフィーの底に横になり、目を閉じる
そして目を開けると再び彼女の姿は2月14日のトレセン学園にあった
懐にはバレンタインチョコ。既に早い動悸を抑え集中する
(バクシン…バクシン…バクシン…バクシン…)
駆け出す。甘い空気を放つ周囲を尻目に
一瞬だけドアを開ける事と躊躇った後…開ける
「…………………………あれ」
見間違いかと思った。そのせいで思考が停止し、暫く立ち尽くす
だがそこには誰も居なかった
4: 名無しさん(仮) 2022/01/20(木)01:25:30
「――!」
走り出す。元来バクシンを常にする身だが
がむしゃらに学園内を探し回るつもりはなかった
この世界が「自らの考えたくない事」を元にしているのなら
かえって居場所は分かろうというものだ
(ええ。ええ…そうでしょうとも)
学園内で渡すのが校則に違反する。そう考えるのが自分だけでないのなら…
公園に、トレーナーと…そして先程とは別のクラスメイトがいた
照れるように頭を掻く彼の姿と、渡すだけ渡した後
顔を真っ赤にして走り去って行くクラスメイト…
ゆっくりと近づいていく自分に気づいたのかトレーナーが声を掛けていた
「ああ、バクシンオー…いや、実はこんなもの貰っちゃってさ」
そこで景色が暗転し、そして再び目を開ける
走り出す。元来バクシンを常にする身だが
がむしゃらに学園内を探し回るつもりはなかった
この世界が「自らの考えたくない事」を元にしているのなら
かえって居場所は分かろうというものだ
(ええ。ええ…そうでしょうとも)
学園内で渡すのが校則に違反する。そう考えるのが自分だけでないのなら…
公園に、トレーナーと…そして先程とは別のクラスメイトがいた
照れるように頭を掻く彼の姿と、渡すだけ渡した後
顔を真っ赤にして走り去って行くクラスメイト…
ゆっくりと近づいていく自分に気づいたのかトレーナーが声を掛けていた
「ああ、バクシンオー…いや、実はこんなもの貰っちゃってさ」
そこで景色が暗転し、そして再び目を開ける
5: 名無しさん(仮) 2022/01/20(木)01:26:14
「嘘は、ついてくれないんですね」
トロフィーから助け起こされお礼を言った後ふらふらと歩き出す
…トレーニング前に一度洗面所に寄ろう
バクシン的直感は良く当たる
案の定、笑顔がぎこちなくなっていた
トロフィーから助け起こされお礼を言った後ふらふらと歩き出す
…トレーニング前に一度洗面所に寄ろう
バクシン的直感は良く当たる
案の定、笑顔がぎこちなくなっていた
8: 名無しさん(仮) 2022/01/20(木)01:40:33
一回トロフィーから生還したはずのゴルシがダメって言うんだから素直に引いておくべきだった…
9: 名無しさん(仮) 2022/01/20(木)01:44:32
トロフィーから出て来たエアグルーヴがしくしくと泣いていたのは有名な話
10: 名無しさん(仮) 2022/01/20(木)02:07:42
ウマ娘を合法的に曇らせる便利アイテム過ぎる…
13: 名無しさん(仮) 2022/01/20(木)02:49:02
どういうことなの…
14: 名無しさん(仮) 2022/01/20(木)03:13:02
何割かのウマ娘は一日ひっつき虫になってトレーナーから離れなくなる