1: 名無しさん(仮) 2023/08/14(月)17:59:20
「ヘイヘイそこの君ぃ…ちょっと良いかな?」
合宿所側の海岸に場違いで軽薄な声が響きます
目をやれば絵に描いたような褐色金髪で胸元を出した水着の男性の姿がありました
この辺りはトレセン学園所有の土地であったはず…
にも拘わらずこのような輩が出没するというのは
それは一重に欲望の成す物かもしれません
「申し訳ありませんが、今私は立て込んでおりまして〜」
それでもにこやかに受け流そうとする私を見て彼は苦笑し手を振ります
「ああ、いやお嬢ちゃん誤解させたらごめんね。オレの目当てはそっちの彼、彼」
「えっ?」
「ほう…」
彼が指さしたのは…私の背後。付き添っていたトレーナーさんの方でした
「真面目そうな顔してても分かるんだよねぇ〜…アンタ、オレと遊びたそう思ってる」
「そちらこそ…いくら見た目を浮つかせても胸元の傷が雄弁に中身を教えてくれる」
はっとします。彼の胸元…いえ全身に刻まれているそれは刀疵の様でした
合宿所側の海岸に場違いで軽薄な声が響きます
目をやれば絵に描いたような褐色金髪で胸元を出した水着の男性の姿がありました
この辺りはトレセン学園所有の土地であったはず…
にも拘わらずこのような輩が出没するというのは
それは一重に欲望の成す物かもしれません
「申し訳ありませんが、今私は立て込んでおりまして〜」
それでもにこやかに受け流そうとする私を見て彼は苦笑し手を振ります
「ああ、いやお嬢ちゃん誤解させたらごめんね。オレの目当てはそっちの彼、彼」
「えっ?」
「ほう…」
彼が指さしたのは…私の背後。付き添っていたトレーナーさんの方でした
「真面目そうな顔してても分かるんだよねぇ〜…アンタ、オレと遊びたそう思ってる」
「そちらこそ…いくら見た目を浮つかせても胸元の傷が雄弁に中身を教えてくれる」
はっとします。彼の胸元…いえ全身に刻まれているそれは刀疵の様でした
2: 名無しさん(仮) 2023/08/14(月)17:59:41
と、同時に歯噛みをしていました
普段であればこのような些細な気配も見逃したりはしなかったはず
それを合宿の場と、男性の見た目からナンパだと連想し
肝心な部分から目を逸らしてしまったのです
―――浮ついていたのは果たしてどちらか…
「グラス。すぐ終わるから少しだけ離れていてくれ
……遊びであれば、獲物はこの流木にて」
「オッケ。合わせよう。では…」
「いざ」
「いざッ!」
ばう、という音と共に流木を構えた二人の姿が消失します
砂地を蹴った衝撃で飛び散った砂塵が地に落ちるよりも早く
ぶつかり合った流木は交差すると同時に粉々に打ち砕かれて舞い
トレーナーさんと男性のそれぞれの喉元には互いの手刀が突きつけられていました
「…成程」「中々」
普段であればこのような些細な気配も見逃したりはしなかったはず
それを合宿の場と、男性の見た目からナンパだと連想し
肝心な部分から目を逸らしてしまったのです
―――浮ついていたのは果たしてどちらか…
「グラス。すぐ終わるから少しだけ離れていてくれ
……遊びであれば、獲物はこの流木にて」
「オッケ。合わせよう。では…」
「いざ」
「いざッ!」
ばう、という音と共に流木を構えた二人の姿が消失します
砂地を蹴った衝撃で飛び散った砂塵が地に落ちるよりも早く
ぶつかり合った流木は交差すると同時に粉々に打ち砕かれて舞い
トレーナーさんと男性のそれぞれの喉元には互いの手刀が突きつけられていました
「…成程」「中々」
3: 名無しさん(仮) 2023/08/14(月)17:59:53
そして二人から気が霧散し、握手を交わし合いました
実力が拮抗していたからこそ互いの獲物は同じ様に破壊されたのです
もし均衡が崩れていたならばどちらかが砂浜に骸として倒れ伏していた事でしょう
「やっぱ見立て通りだ…良いねアンタ」
「いや。こちらこそ恐れ入った。だが俺も彼女の指導があるのでね」
「おお、そうだな。お嬢ちゃんの視線が怖い怖い。あ、けどLANE聞いていいかい?」
「ああ、その位なら」
二人はそのままスマホを取り出すと挨拶し
そして軽薄そうな男性は素直に砂浜から去っていってしまいました。
「グラス。そう怒るなって…それとも本当にナンパされた方が良かった?」
「…いいえ」
私の内側でいくつもの憤りが煮えたぎっていました
男性の力量を測れなかった事
彼のお眼鏡にはかなわなかった事
二人の力量
実力が拮抗していたからこそ互いの獲物は同じ様に破壊されたのです
もし均衡が崩れていたならばどちらかが砂浜に骸として倒れ伏していた事でしょう
「やっぱ見立て通りだ…良いねアンタ」
「いや。こちらこそ恐れ入った。だが俺も彼女の指導があるのでね」
「おお、そうだな。お嬢ちゃんの視線が怖い怖い。あ、けどLANE聞いていいかい?」
「ああ、その位なら」
二人はそのままスマホを取り出すと挨拶し
そして軽薄そうな男性は素直に砂浜から去っていってしまいました。
「グラス。そう怒るなって…それとも本当にナンパされた方が良かった?」
「…いいえ」
私の内側でいくつもの憤りが煮えたぎっていました
男性の力量を測れなかった事
彼のお眼鏡にはかなわなかった事
二人の力量
4: 名無しさん(仮) 2023/08/14(月)18:00:19
…いとも易々とトレーナーさんがLANEを交換していた事
もしかしたら私の知らぬ所で夜にでも二人は会い
そして棒きれ以外を使って交流するのかもしれません
「なんと頂きの遠い事か…」
「辛いか?」
「いいえ、いいえ…」
滾ります
心からの呟きを苦笑され
そして側にいたマヤノトップガンさんの分からないという顔をよそに
私は夏合宿のトレーニングを再開するのでした。
もしかしたら私の知らぬ所で夜にでも二人は会い
そして棒きれ以外を使って交流するのかもしれません
「なんと頂きの遠い事か…」
「辛いか?」
「いいえ、いいえ…」
滾ります
心からの呟きを苦笑され
そして側にいたマヤノトップガンさんの分からないという顔をよそに
私は夏合宿のトレーニングを再開するのでした。
5: 名無しさん(仮) 2023/08/14(月)18:01:04
マヤわかんない…
6: 名無しさん(仮) 2023/08/14(月)18:01:38
マヤしらないよあんな修羅場
9: 名無しさん(仮) 2023/08/14(月)18:05:12
急にマヤに流れ弾が
8: 名無しさん(仮) 2023/08/14(月)18:04:56
ナギナタを持っていればな…
17: 名無しさん(仮) 2023/08/14(月)18:22:20
>>8
分かるかいネイチャ
あの場でもしグラトレが薙刀を持ち出していればそれは試合になっていた
実力は五分…昼間からの刃傷沙汰は避けたい
だからグラトレは流木を使う事で互いの腕試しに押さえたのさ
血気盛んな野生の達人じゃなくて良かったよ
分かるかいネイチャ
あの場でもしグラトレが薙刀を持ち出していればそれは試合になっていた
実力は五分…昼間からの刃傷沙汰は避けたい
だからグラトレは流木を使う事で互いの腕試しに押さえたのさ
血気盛んな野生の達人じゃなくて良かったよ
7: 名無しさん(仮) 2023/08/14(月)18:02:27
>>4
>もしかしたら私の知らぬ所で夜にでも二人は会い
そして棒きれ以外を使って交流するのかもしれません
その話詳しく聞かせてもらえないかしら(ピコピコピコピコ
>もしかしたら私の知らぬ所で夜にでも二人は会い
そして棒きれ以外を使って交流するのかもしれません
その話詳しく聞かせてもらえないかしら(ピコピコピコピコ
15: 名無しさん(仮) 2023/08/14(月)18:08:14
>>7
ドーベル
その先は18禁だぞ…
熱い液体とか飛び散るからな
ドーベル
その先は18禁だぞ…
熱い液体とか飛び散るからな
11: 名無しさん(仮) 2023/08/14(月)18:07:19
棒きれじゃなくて棒を使って交流するのね…!
12: 名無しさん(仮) 2023/08/14(月)18:07:19
令和版剣客商売かなんかで?
19: 名無しさん(仮) 2023/08/14(月)18:29:46
>>12
炎天下
潮の香り
蝉の声
波の音
そんな中達人が二人視線を交わした
勝負でしょう。そんなものは
炎天下
潮の香り
蝉の声
波の音
そんな中達人が二人視線を交わした
勝負でしょう。そんなものは
13: 名無しさん(仮) 2023/08/14(月)18:07:34
グラスお前の想像する日本怖いよ…
14: 名無しさん(仮) 2023/08/14(月)18:07:38
ナンパしてきたのが男でよかったな
16: 名無しさん(仮) 2023/08/14(月)18:10:32
目線世界のグラスはどうしてこう物騒な…
18: 名無しさん(仮) 2023/08/14(月)18:28:32
いやいやなに言ってるの
20: 名無しさん(仮) 2023/08/14(月)18:30:54
眼と眼が合ったら達人バトル!
21: 名無しさん(仮) 2023/08/14(月)18:32:55
俺は彼とLANE交換したけどお嬢ちゃんは?
25: 名無しさん(仮) 2023/08/14(月)18:44:55
>>21
ギリ…
ギリ…
22: 名無しさん(仮) 2023/08/14(月)18:33:49
野生の達人ってなんだよ
23: 名無しさん(仮) 2023/08/14(月)18:41:23
いやそもそも野生の剣客がなんでそんなに気軽に生えるんだよ!
26: 名無しさん(仮) 2023/08/14(月)18:45:51
>>23
目線世界だから…ってこと除いてもウマ娘なんてとんでも種族を相手するために練られた武術とか相当ありそう
目線世界だから…ってこと除いてもウマ娘なんてとんでも種族を相手するために練られた武術とか相当ありそう
27: 名無しさん(仮) 2023/08/14(月)18:46:12
相手の力量が量れないのは修行が足りない
28: 名無しさん(仮) 2023/08/14(月)18:47:55
まあ夏合宿中だからな
普段トレセン学園の内部に閉じこもってる若武者達が向こうの方から警備員もいない外部へ出て来る
そんな好機逃す手は無いだろう
普段トレセン学園の内部に閉じこもってる若武者達が向こうの方から警備員もいない外部へ出て来る
そんな好機逃す手は無いだろう
29: 名無しさん(仮) 2023/08/14(月)18:51:26
去年も野生の達人(鎌)に襲われてたな…
30: 名無しさん(仮) 2023/08/14(月)19:07:32
マヤとばっちりで駄目だった
31: 名無しさん(仮) 2023/08/14(月)19:09:33
マヤは戦闘機乗りだから生身の機微はわからないんだな…?