「乙名史さん、頭をあげてください!とんでもないです。こちらこそ無理に平日にお願いしてしまって……」
「いえいえ、北海道開催で滞在中の方を取材することに力をいれるために、学園内の取材は今週中に済ませようと思っておりましたので。どうかお気になさらず」
そんなことを言いながらお互いに荷物をまとめた。乙名史さんは駅前でタクシーを拾って帰ります、とか言ってさっさと駅へと歩いて行った。
今日はとりあえず寝る。昼前まで寝て、午後からマリタイムシッパーの練習を見る。今晩はコンビニで何かつまめる物でも買って帰ろう。
そうしてたどり着いたコンビニの軒先で、頭から耳の部分が飛び出たパーカーを目深にかぶり、何かをもそもそと食べる人がいた。ウマ娘だ。
トレセンの寮近くのコンビニで、顔がわからないようにしたウマ娘が、深夜に、何かを食べている。
この条件を与えられれば、100人中100人のトレセン職員は買い食いのために寮を抜け出したウマ娘だと結論付けるだろう。
「なあ、君ちょっといいか?トレセン生だろ。こんな時間に……」
声をかけたウマ娘は逃げ出さずに、おとなしく顔をあげた。ばつが悪そうにしたマリタイムシッパーだった。
「その……こんばんは。トレーナー」
「ああ、こんばんは。えーと、夕飯食べそこなったとか?」
「えーっと……まあ、うん。そんなところ」
出歩いているのが担当となると始末に困る。このまま守衛につき出してもメリットがないし、かといって匿うのはさらにリスクが高い。
𠮟り飛ばしても仕方がない。したいことをさせて帰らせる。おそらく弱小トレーナーの処世術としては、きっとこれが正しい。
「それだけで足りる?まだぼくは夕飯を食べてないから駅前のラーメン屋にでも行こうかなって……」「行く」
即答だった。そもそも、ついてくるかとも聞いてもいない。お腹が空いてて仕方ないのだろう。
「ぼくは普通のラーメンでいいかな。おごるから好きなの頼みなよ」
「じゃあ、チャーシュー麵で……」「サイズは?」「……大盛で」
大分サイズ差のある二つのどんぶりがすぐに配膳され、お互いともうっかり誰かに気が付かれないように静かに食べだした。
しばらくして、若い男性客の集まりがマリタイムシッパーの横に座った。飲み会の〆なのか、どんちゃん騒ぎを続けていた。
そのグループの一人が自分の隣にウマ娘がいることに気が付いたのか、声をかけてきた。彼女は微笑を湛えて、無視を決め込んだ。
反応がないことに腹を立てたのかアルコールでブレーキが利かなかったのかは知らないが、徐々に話す内容はエスカレートしていった。
その男が無分別にぶちまける内容に、無意識で怒りを貯めこんでいたのだろう。自分でも思いがけずに口が動いた。
「すみません、やめてもらっていいですか。その……この人は、ぼくの大切な人なので。行こうか、マリ?」
マリタイムシッパーの手をゆるくつかむようにして立たせ、さっさと店を出た。
「……手でも捻った?ごめん、力を入れたつもりはなかったんだけど……」
「え?ううん、大丈夫!あ、ここでいいよ!うん!ここから帰れるから!おやすみなさい!うん!明日の練習もよろしく!」
そう矢継ぎ早に言い放ち、マリタイムシッパーは古くなって低くなっている塀をよじ登って寮へと帰っていった。
危ない橋を渡っているな、と思ってふうと息を吐いた。専属のウマ娘、というより年下の女学生にやることではない。
ひんやりとした夏の夜風が、冷静さと後悔を呼び起こす。明日ちゃんと謝ろう。
自分の中で何とか決着をつけて、ポケットから携帯を取り出した。乙名史さんからメッセージが来ていた。
『マリタイムシッパーさんとの絆に、私感動しました!』
この時はまだ、乙名史悦子というヒトのことをよく理解していなかった。いや、彼女の琴線に触れるとどうなるか、理解できていなかったのだ。
――プレオープンの子は珍しいね(笑)。それでも選んだ理由は?
(乙名史) 元々パワーとスタミナが強みの子で、これまでの勝ったレースも東京と中京です。どちらかというと急な坂と長い直線で力比べになる展開が向いているのかなと思ったんですが、大井のスピード展開で勝ちました。全体的に実力が上がってきてると思います。本格化の兆しかもしれませんね。
――なるほど。他には?
(乙名史) 何よりも人バの絆の強さが決め手です!マリタイムシッパーさんと担当トレーナーさんはとても深い信頼と相互の愛情で結びついていると思いました。世界中を敵に回してもトレーナーさんは守り抜く、そんな覚悟を感じさせました。他にも(中略)」
出典:「秋の出世ウマ娘は!?記者が語る次に来るウマ娘」『月刊トゥインクル 9月号』
>世界中を敵に回してもトレーナーさんは守り抜く、そんな覚悟を感じさせました。
お前取材で何言ったんだ?って同僚から揶揄われるやつ
隣にマリちゃんいないけど…
身長は大体148〜153cmくらいでBとWの差が40以上50未満に収まりそうです
これもまとまったら報告します
なそ
にん
グラスワンダー(152cm)とは同じかやや小さい
トウカイテイオー(150cm)よりはやや大きい(見え方で異なる)
=身長は140cm後半から150cm前半
マチカネタンホイザ(W55)とWのサイズがほぼ同じかやや細い
爆○汎用ボディであることを考えるとB-Wは少なくとも30以上
ただしWe are DREAMERS!でのボディの動きが明らかに爆○グループと異なる
=汎用ボディにB-W40以上グループが存在する?
追加で検証中です
確かにハレルヤのテイオーより低く見えるタイミングもあるんですが判別がしにくいラインです
手持ちのウマ娘だとアグネスデジタルとライスシャワーよりは大きいので幅を持たせるとすればそのあたりかなと思っています
そこへ+40をドンだ