1: 名無しさん(仮) 2023/04/06(木)02:56:45
お花見でもしよっか、春だし」
「花見か、どこまで行くんだ?」
「んーっと…じゃあ今回は、キミが連れてって?」
心地よい春の風を感じたくて繰り出した何時もの散歩、でも今回はトレーナーの後を付いていく、いつもと違う気まぐれ散歩
10回に1回はこうしてトレーナーに主導権を渡して私は只管彼についていく。最初はじれったい様に感じていたこれも、慣れていくうちにそこまで居心地の悪さは感じなくなっていた
「んー…ちょっと遠くなるけど、いいかな?」
「勿論」
少しだけ悩んでから歩き始めたトレーナーの少し後ろをキープ。彼の視線の先を追いかけたり、はぐれない程度に興味を惹かれたモノに近づいてみたり
気が付くと足を止めて、振り向いて待っていてくれる彼に走り寄って、また歩き始めて
だいぶ時間をかけて、着いた先は――
「花見か、どこまで行くんだ?」
「んーっと…じゃあ今回は、キミが連れてって?」
心地よい春の風を感じたくて繰り出した何時もの散歩、でも今回はトレーナーの後を付いていく、いつもと違う気まぐれ散歩
10回に1回はこうしてトレーナーに主導権を渡して私は只管彼についていく。最初はじれったい様に感じていたこれも、慣れていくうちにそこまで居心地の悪さは感じなくなっていた
「んー…ちょっと遠くなるけど、いいかな?」
「勿論」
少しだけ悩んでから歩き始めたトレーナーの少し後ろをキープ。彼の視線の先を追いかけたり、はぐれない程度に興味を惹かれたモノに近づいてみたり
気が付くと足を止めて、振り向いて待っていてくれる彼に走り寄って、また歩き始めて
だいぶ時間をかけて、着いた先は――
2: 名無しさん(仮) 2023/04/06(木)02:57:40
「ここ…?」
「そう。俺の実家」
「…実家?」
遠目から見てもわかるくらい大きい、ルドルフやマルゼンスキーの家が持ってる別荘ってこんな感じなんだろうなーって思った建物の前でトレーナーが止まって、その家のチャイムを鳴らした
「すごい、ね…」
「古くて大きいだけだよ。盛り場からも離れてるから買い物行くのだって大変なんだ」
「そう。俺の実家」
「…実家?」
遠目から見てもわかるくらい大きい、ルドルフやマルゼンスキーの家が持ってる別荘ってこんな感じなんだろうなーって思った建物の前でトレーナーが止まって、その家のチャイムを鳴らした
「すごい、ね…」
「古くて大きいだけだよ。盛り場からも離れてるから買い物行くのだって大変なんだ」
迎えに出てきた使用人らしいおばさんと2.3言葉を交わすと、トレーナーはそのままアタシを玄関に招き入れた
「父さんも母さんも出かけてるってさ、ちょっと安心したよ。いたら絶対揶揄われる」
「そうなんだ。じゃあトレーナーの昔の話とかは聞けないなあ」
「勘弁してくれよ」
予想外の展開にちょっとだけの緊張とワクワクが浮かび上がってきて、彼の案内のままに御屋敷の中を進んでいく
3: 名無しさん(仮) 2023/04/06(木)02:58:24
「おー懐かしいな…シービー、ここだよ」
「ここ…?う……わ……」
中庭に面した木目の廊下、雨戸を開けた先に目を向けて、息が止まる
薄い紅の混じった。白い花の天井。そう思えるほどの巨大な枝垂れ桜がそこにあった
心地よい東からの春風、東風(こち)って言うんだっけ?それに乗って花弁がさわさわと音を立てていて
雪の様に花びらが舞って、アタシの足元に降りてくる
「うちのご先祖さんがここに住むと決めた時に植えたんだ。ご神木…って程じゃないけど、それ以来ずっと見守ってくれている桜だよ。毎年花見は縁側でこの木を見てうちはやってたんだ」
「…あ、はは…すっごいなあ……」
なにかを見て呆気に取られるなんて、人生で今まで何回あっただろう
風に舞う桜の花びら、全身を春のにおいが包み込んで、そのまま花びらと一緒に空まで飛んで行ってしまいそうな感覚
石畳の上に素足のまま立って、目を閉じて風を感じていると、いつの間にかお盆にお茶とお団子を載せたトレーナーに声を掛けられた
「さ、お花見しよっか」
「ここ…?う……わ……」
中庭に面した木目の廊下、雨戸を開けた先に目を向けて、息が止まる
薄い紅の混じった。白い花の天井。そう思えるほどの巨大な枝垂れ桜がそこにあった
心地よい東からの春風、東風(こち)って言うんだっけ?それに乗って花弁がさわさわと音を立てていて
雪の様に花びらが舞って、アタシの足元に降りてくる
「うちのご先祖さんがここに住むと決めた時に植えたんだ。ご神木…って程じゃないけど、それ以来ずっと見守ってくれている桜だよ。毎年花見は縁側でこの木を見てうちはやってたんだ」
「…あ、はは…すっごいなあ……」
なにかを見て呆気に取られるなんて、人生で今まで何回あっただろう
風に舞う桜の花びら、全身を春のにおいが包み込んで、そのまま花びらと一緒に空まで飛んで行ってしまいそうな感覚
石畳の上に素足のまま立って、目を閉じて風を感じていると、いつの間にかお盆にお茶とお団子を載せたトレーナーに声を掛けられた
「さ、お花見しよっか」
4: 名無しさん(仮) 2023/04/06(木)02:59:06
甘じょっぱいみたらしのお団子、キンと冷えた水出しの緑茶。二人並んで縁側に座って、桜を見ながら口にして
アタシがトレーナーの前を進むでも、トレーナーが前を進むでもない、二人が横に並んで見る風景
……そう言えば、何時もの散歩はずっと歩きっぱなしで、こうして座ることもほとんどなかったっけ
この人と一緒だから、この人が導いてくれたから見ることが出来た風景
あの時の、河川敷でトレーナーを背負った時とは真逆だけど、それはとても綺麗で、ワクワクするもので
「……トレーナー」
「ん?」
「……ううん、何でもない」
アタシがトレーナーの前を進むでも、トレーナーが前を進むでもない、二人が横に並んで見る風景
……そう言えば、何時もの散歩はずっと歩きっぱなしで、こうして座ることもほとんどなかったっけ
この人と一緒だから、この人が導いてくれたから見ることが出来た風景
あの時の、河川敷でトレーナーを背負った時とは真逆だけど、それはとても綺麗で、ワクワクするもので
「……トレーナー」
「ん?」
「……ううん、何でもない」
5: 名無しさん(仮) 2023/04/06(木)02:59:27
トレーナーがアタシの中に注いでくれた、アタシの穴を埋めてくれた最後の一滴
それが溢れ出してしまった気がして
桜の枝に止まったスズメやメジロを見ながら、ふと思ってしまった
何物にも縛られたくなくて、何も錘にならなくて、何よりも自由でいたいと思うアタシが
自分からトリカゴに入ってもいいかも、って思ってしまったのなら
それは自由って言えるのかな、って
それが溢れ出してしまった気がして
桜の枝に止まったスズメやメジロを見ながら、ふと思ってしまった
何物にも縛られたくなくて、何も錘にならなくて、何よりも自由でいたいと思うアタシが
自分からトリカゴに入ってもいいかも、って思ってしまったのなら
それは自由って言えるのかな、って
6: s 2023/04/06(木)03:00:18
尾張
解釈違いかもしれないけど
自分の中に芽生えた自分の中のタブーを受け入れようとする感情に戸惑うシービーを見たかった
解釈違いかもしれないけど
自分の中に芽生えた自分の中のタブーを受け入れようとする感情に戸惑うシービーを見たかった
8: 名無しさん(仮) 2023/04/06(木)03:03:24
前後じゃなくて並ぶから見れるものってのもいいと思うんですよ
9: 名無しさん(仮) 2023/04/06(木)03:04:40
ほんのり湿り気帯びたシービー好き
10: 名無しさん(仮) 2023/04/06(木)03:08:19
トレーナーが基本全肯定だから引き摺らないだけでシービー自身は自分の性分のめんどくささ自覚してるのがいいよね
25: 名無しさん(仮) 2023/04/06(木)07:49:46
>>10
序盤の約束イベからグッドエンディングまで度々瞬間的に湿度上がるからなCB
序盤の約束イベからグッドエンディングまで度々瞬間的に湿度上がるからなCB
11: 名無しさん(仮) 2023/04/06(木)03:12:51
しばらくもやもや悩んだ後に両親に相談して自分で選んだならそれでいいんじゃない?
って言われて吹っ切れて欲しい
って言われて吹っ切れて欲しい
12: 名無しさん(仮) 2023/04/06(木)03:14:48
地味にすごいところ住んでるなシビトレ…
14: 名無しさん(仮) 2023/04/06(木)03:20:08
面と向かってイチャイチャなんて柄じゃないと思ってた本人がやってみたいって一瞬でも思っちゃっうのいいよね
27: 名無しさん(仮) 2023/04/06(木)08:37:50
>>14
一瞬思うけどその後に煩わしいとか思っちゃったらどうしようって考えて一歩が踏み出せないシービーも綺麗だと思うんだべな
一瞬思うけどその後に煩わしいとか思っちゃったらどうしようって考えて一歩が踏み出せないシービーも綺麗だと思うんだべな
30: 名無しさん(仮) 2023/04/06(木)08:40:51
>>27
ユキノがこんなところまで…
ユキノがこんなところまで…
16: 名無しさん(仮) 2023/04/06(木)03:37:22
育成でトレーナーに向けてる感情の答えが分からないって言ってたし
精神的な成長の余地とかまだまだあるのがシービーの面白い所
精神的な成長の余地とかまだまだあるのがシービーの面白い所
18: 名無しさん(仮) 2023/04/06(木)03:40:26
>>16
イベントにかこつけないと逆に普通のことができないのは不器用な子だよ
イベントにかこつけないと逆に普通のことができないのは不器用な子だよ
17: 名無しさん(仮) 2023/04/06(木)03:39:33
自由にこだわってる人が一番自由に縛られてるって言うのはよくある話で
19: 名無しさん(仮) 2023/04/06(木)04:03:31
勝っても負けても楽しければいいけど唯一終わったら君にいてほしいって言ってるので自覚ないだけでトレーナーの事鳥かごだと思ってるのよね
20: 名無しさん(仮) 2023/04/06(木)04:37:35
水族館で明日も大切な人がそばにいると思って毎日過ごせる水槽の中の不自由はそれもまた1つの自由なのかもって言ってたな…
22: 名無しさん(仮) 2023/04/06(木)06:50:15
こいつ実家に連れ込んとる
23: 名無しさん(仮) 2023/04/06(木)06:54:39
分かっているのにメジロにちょっと反応しちゃう
24: 名無しさん(仮) 2023/04/06(木)07:00:57
これもまたひとつの一心同体ですわね…
26: 名無しさん(仮) 2023/04/06(木)08:15:26
>>24
鳥が喋っている…
鳥が喋っている…
29: 名無しさん(仮) 2023/04/06(木)08:40:15
ほう…