「私たちの権利を認めてくださーい!」
「清き一票をー!」
所要あってファインモーションと行動していた折、ボール紙の看板を掲げてデモ活動を行う3人のウマ娘と出会った
看板には『Give Us Tasty』は油性マジックで刻まれ、周りのそれっぽい言葉が賑やかな感じを出している
こちら、というよりファインを見つけたようで、看板を掲げたままブルドーザーのように突撃してきた
「ファインさん!私たちの活動に賛同してくれませんか!」
「あなたの後ろ盾があればきっと理事長もあの小さな腰を上げるはず!」
「ところでたづなさん来てませんよね?見つかったらまた解散させられるかも……」
「一体何があったの?そんなに深刻な問題起こってたかな?」
ファインがきょとんとした反応を返すと、憤慨するもの、嘆くもの、不安そうにあたりを警戒するものと三者三葉の反応が返ってきた
「こら、失礼だよ!ごめんなさいこの子がいつも……」
「お母さんみたーい」
姦しい様子の4人を後ろから見守っていると、彼女らがいた場所の足元に段ボール箱が1つ開けられていた
彼女たちもそれに気づいたようで、目を爛々とさせてこう言った
「ロイヤルビタージュースがまっっっっっずいんですよ!!」
「はあ……」
緑色の、コンビニにあるカフ○ラテのようなラベルで密封された容器を手に取り彼女らは熱弁をふるう
「期間限定商品だったのが購買部に常設されたんですよ」
「効き目は良かったし、おいしくなって新登場って言ってたから信じてたのに!」
「味、ほっとんど変化なし!」
「よろしければ一本いかがですか!?これを飲めば私たちの気持ちがわかるはず!」
「あ、ありがとう……じゃあ、そのボール箱は……」
「広報用に1箱買いました!余ったら全部飲むのでご安心を!」
「こういうのって、売れなかったら自然に取り扱いをやめるんじゃないの?」
「こんなに効き目がある飲み物を終売なんてさせませんよ!」
確かに使っていたころも効き目だけは確かだった。その分ファインに飲ませるのにも苦労したが
そんな思い出を振り返りながらラベルを突き破ったストローを加え、吸い上げた
「……ん、普通においしいじゃん」
「「「うっそだぁ!?」」」
「本当!私にもちょうだいトレーナー!」
少し含んだあたりで彼女がストローを離し、口元に手を当てたまま笑顔でこっちに視線を向ける
糸を察して彼女の手を引き、壁と体で挟み込んで姿を隠す
不本意ながら新調したばかりのハンカチを手に広げ、彼女の口元にやると生ぬるい液がじわっと手のひらに広がる感覚がした
「……うそつき」
「急に一気飲みするからびっくりしたよ」
自分のハンカチで口を拭いながら抗議する彼女を嗜める
以前利用した時は小さなコップで時間をかけて飲んでいたことを忘れたのだろうか
ぐっしょりと濡れたハンカチを仕方なくポケットにやり、デモ隊の方に向き直った
感想を述べようとしたところ、彼女たちの様子はおかしくなっていた
顔を覆って小刻みに震え、なぜかこちらを制止するように手のひらを向ける子もいる
「あの……あの……もう、いいです。大丈夫です……」
「ごちそうさまでした……いや、ほんとに……」
「す、すごい……」
蚊の鳴くような声でそう残し、彼女らはそそくさと退散していった
よく分からないまま飲み残しを吸い切って、ファインを連れてまた歩き出した
「そうだよ?」
「……意識とか、してくれないの?」
「動揺したらSPさんに殺されると思って」
「私とじゃイヤだった?」
「どう転んでもアウトな質問はやめてくれ」
いや…すごい…
なんか癖の強い抗議活動
……を全部吹き飛ばすロイヤルインパクト
えっちだね
布越しとはいえファインの唇に触れても許される関係なんだね
えっちだね