気が付いたら、見知らぬ場所に立っていた。
果てしなく広がる緑の平原。どこまでも続く星空。聞こえる音は駆け抜ける風の音だけ。髪も風に靡いている。なのに、肌には何も感じない。寒いとも暑いとも思えない。この世のものとは思えない光景が目の前にある。
ここは何処なのか。どうやってここに来たのかも覚えていない。俺は夢でも見ているのか。そして。
「ダメだよ、トレーナーさん。ホントにダメダメ!」
目の前でプンプンと怒り心頭な、俺の担当ウマ娘にそっくりな子は誰なのか。
「道を歩く時に自然と道路側を歩いたり、エスコートしてたのはマル。お姉ちゃんが好きそうな自然豊かなデートコースを選んだのはニジュウマル!」
そして何故だか、彼女に今日のお出かけの内容を批評されている。確かに俺はさっきまでアヤベとお出かけしていた。次のレースに向けての気分転換になると思って彼女を誘った。だけど、それはデートと呼べるのだろうか?
「でもカフェでコーヒーを頼んだのはバツ! 何でらぶらぶはちみーシェアを頼まなかったの?」
確かに、途中で寄ったカフェでアヤベが物珍しげに眺めていたメニューがあった。2本のストローがハートの形に絡み合ったドリンクだ。だけど俺とアヤベはアレを頼むような間柄ではないし、頼んだとしても、眉根を寄せて口をへの字にされていただろう。
「それにお姉ちゃんが何度も手を繋ぎたそうにしてたのに何で気付かないの? 手を開いたり握ったりして何をしてると思ってたの?」
「いや……その……?」
「それに! 何よりダメなのは──お姉ちゃんを置いて『ここ』に来ちゃったこと!」
「……あ」
やっと、思い出した。お出かけの帰り道。アヤベと並んで歩く途中に、トラックが横転して突っ込んで来て。俺は、咄嗟にアヤベを突き飛ばして、彼女を助けようと。
「もしかして、君は」
「お姉ちゃんもお姉ちゃんだよ。こんなにわかりやすい人、いないのに……」
やっと、目の前の少女の正体がわかった。でも今は、それよりも。
「アヤベは無事なのか?」
「……うん。ちょっと手のひらを擦りむいちゃったみたいだけど」
「……そっか……なら、良かっ……」
「良くない!」
「だめ! お姉ちゃんを置いて行くなんてダメダメだよ! どこまでもついて行くんでしょ!? 」
「……あぁ、そうだね。俺だって、そうしたい。ずっと、一緒に……でも、ここに来たってことは、俺は……」
目の前の少女が俺の思う通りの存在なら、俺はもう帰れない。
しかし彼女はふるふると首を振る。
「ううん。まだ、大丈夫……まぁ、私も最初はお迎えのつもりで来たけど……ねぇ、耳を澄ませてみて?」
──ドン、と何かを強く叩く音がした。風の音と目の前の少女の声しか聞こえなかったここで、夢のように幻想的な空間の中で、場違いな程に強く生々しく感じる音が響く。
──トレーナーさん! トレーナー!!
何も感じなかった身体が、ふわふわで温かいものに包まれていく。耳元で、誰かが俺の名前を強く呼ぶ声がする。
「だから、もうここに一人で来ちゃダメ。また来たら、蹴り返しちゃうんだからね」
「……わかった」
目の前が徐々に白くなっていく。
彼女にもっと伝えるべきことがあるのだが、その前に声が遠ざかっていく。せめて、彼女の声を聞き逃さないように──
「さっき言ってことも、忘れないでね? お姉ちゃん、夢見がちなんだから」
「……ん、うん……まぁ、参考にするよ──」
「ごほっ!、がはっ……!」
「! 目を、開けた……!」
「……アヤベ」
むせ返るように息を吐きながら、目を開く。目の前には俺に跨り、胸に手を当てているアヤベ。彼女が俺を呼び起こしてくれたんだろう。
「ばか、ばか……どうして……! 私を、置いて行かないでよ……!」
「ごめん……」
アヤベが泣いている。ポロポロと頬を伝う熱い雫が、俺の顔に滴り落ちて弾けて行く。大丈夫だから、ありがとうと、手を伸ばしてそれを拭おうとして──腕が、上手く動かない。
近くで騒がしい声。首も動かせないから誰のものかはわからない。
腕どころか、全身の感覚が鈍い。きっと頭が興奮して感覚が麻痺している。もう少しして興奮が引いた頃には──地獄のような苦痛が待っているに違いない。想像するだけでも、顔が渋くなる。
「……もう二度と、あんなことしないで……!」
「それは……」
その言葉には頷けない。アヤベの命を守るためなら、多分また同じように身体が動いてしまう。だから、今ここで、俺が彼女に約束できることは。
「……約束するよ。二度と君を置いていかない。ずっと、ついて行く」
「……っ!」
何も感じられない今の身体でも、痛いほどに伝わってくるもの。
それは、アヤベの温もりと、背中のふわふわとした──
「ええ……まぁ厳密には同じ製品なだけで、別物ですけど」
当時の記憶をインタビュアーに語る。
『あのダービートレーナーは今』……とあるテレビ局が時折放送している番組のインタビュー。
夢の内容も含めてあの時の記憶は鮮明に覚えているし、全て語ったが、果たして彼らはどこまで信じてくれるだろうか。
「あの時車に跳ねられて、偶然跳ねられた先に運搬中のクッションがあって……助かった理由もそれが大きかったでしょうね」
「なるほど……」
体重を乗せると優しく柔らかく俺を包んでくれるクッション。命の危機にある俺でも安心させてくれたふわふわ感。
とある牧場で働いているアドマイヤの名を冠するウマ娘も夢中になっている逸品だ。
「さて、とりあえずここまでで良いですか? この後、妻とお出かけに行くので」
「あ、はい! ありがとうございました!」
「……むしろ、早かったくらいだけど。大丈夫?」
「ああ」
妻と手を繋ぎ、二人並んで家を出る。もうあの事故は何年も前のことで、今となっては痛みも後遺症も残っていない。ただあの温もりだけははっきりと覚えていた。
「あ、あのカフェ寄ってかない? あのドリンク美味しそう」
「……本気?」
「うん」
「……今回、だけだからね……」
少し寄り道してカフェではちみーのシェアドリンクを頼む。添えられたストローの形に妻の目の形が歪むが、決して拒みはしない。怒られるので口にはしないが、そういうところも彼女の可愛いところだと思う。
「もちろん」
「なら良いけど……これからの、私たちの生活には欠かせないものだから……」
もうすぐ増える新しい家族のために、新しい家具──そして、クッションを揃えに行く。
あの時、俺の命を繋いでくれたもの。今も生活に寄り添ってくれるもの。そして、これから先もずっと側にあるもの。
決して忘れられるものか。妻と共に、いつまでも身を委ねたくなる、そのふわふわの名前は──
「──Yogiboが、俺たちを待ってるからな」
(例のアイキャッチ音)
>とある牧場で働いているアドマイヤの名を冠するウマ娘も夢中になっている逸品だ。
噂だとこの娘年上の左耳飾りウマ娘にセクハラしてるらしいけど…
無関係ゾーン
とんでもないスケベ野郎だべ
無関係ゾーン
(CM挟んだんだな…)
ジャパンくんのCMながれたんだな…
ウマ娘だと普通に美少女が草原でクッションで寝っ転がってる絵面になるな…
テイエムカタリベオー!
素直に喜べない
今では私がお母さん
娘たちに与えるのはもちろんYogiboのクッション
何故なら彼女たちもまた特別な存在だからです
ニッチ商店過ぎる…
シリアスとふわふわは両立できる
(ほら!そこで肩を抱くんだよトレーナーさん!)
(あー!なんでお姉ちゃんもおてて引っ込めちゃうのー!?)
(はやく…はやく…)
(抱けー!抱けー!!)
なんで憑いてるかってその子のためだからな今のところ…
長生きしろよ
しかも今回は目の前だから先にアヤベさんがショックでぶっ倒れてもおかしくない
トレーナーのリハビリにもずっと付き合うし完治した後もぴったり寄り添って離れないと思う
2番人気以降も原作の生死が纏わるんだろうな…
普通の枕の時はYES
どっちもYESじゃねーか!!
Noの時は前もって言うからね…
その日はトレーナーさんのやる気が下がる
その姿を見て仕方ないわね…する前振りでしかない
やっと罪の意識から解放されて人生の一年目を歩み始めたら
ずっと自分について来て背中を押してくれた人が自分の為に目の前で散った
どうです?
ダメ
老衰でくたばれ
一応このトレーナーとアヤベのは実話である
皇潤が全部作り話みたいな言い方はやめろー!
女子高生の寝顔無断でCMにしたらヤバいよ!
もう女子高生だったひとになってる時期だろうから…
多分元トレーナーと妻っていう関係になってると思う
アドマイヤベガ
Yogibo歴:9年
職業:元ダービーウマ娘
ふわふわは全て許してくれる