1: 名無しさん(仮) 2024/07/28(日)23:03:49
「今日もトレーナーさんにお弁当作ってもらったの?」
「えへへ、そうなんですよ!それ、ご開帳!わぁ、美味しそうな焼売弁当!」
「ふわふわ加減も良さそう。やるわね、貴方のトレーナー」
今日も今日とて、自分のトレーナーにお昼のお弁当を作ってもらったトップロード。ウキウキと箸を手に取るが…
「…?…何か、見られてます」
視線を感じて顔を上げると、少し離れたところから、ジッとこちらを見つめてくるウマ娘が。
「あれって確か華麗なる一族の…」
「ダイイチルビーと申します。不躾な行い、大変失礼致しました」
「え、ええ。別に大丈夫ですけど…」
「ありがとう存じます。ところで、先程のお二人の会話を偶然聞いてしまったのですが、トップロードさんはご自分のトレーナーにお弁当を作ってもらっているというのは本当ですか?」
「そ、そうですよ。な、なんですか?あげませんよ!?」
「落ち着いてトップロードさん。多分そういうことじゃないと思うわ」
弁当箱を胸に抱き威嚇するトップロードとそれを窘めるアヤベを他所に、ダイイチルビーの脳裏には後悔の記憶が思い浮かんでいた。
「えへへ、そうなんですよ!それ、ご開帳!わぁ、美味しそうな焼売弁当!」
「ふわふわ加減も良さそう。やるわね、貴方のトレーナー」
今日も今日とて、自分のトレーナーにお昼のお弁当を作ってもらったトップロード。ウキウキと箸を手に取るが…
「…?…何か、見られてます」
視線を感じて顔を上げると、少し離れたところから、ジッとこちらを見つめてくるウマ娘が。
「あれって確か華麗なる一族の…」
「ダイイチルビーと申します。不躾な行い、大変失礼致しました」
「え、ええ。別に大丈夫ですけど…」
「ありがとう存じます。ところで、先程のお二人の会話を偶然聞いてしまったのですが、トップロードさんはご自分のトレーナーにお弁当を作ってもらっているというのは本当ですか?」
「そ、そうですよ。な、なんですか?あげませんよ!?」
「落ち着いてトップロードさん。多分そういうことじゃないと思うわ」
弁当箱を胸に抱き威嚇するトップロードとそれを窘めるアヤベを他所に、ダイイチルビーの脳裏には後悔の記憶が思い浮かんでいた。
2: 名無しさん(仮) 2024/07/28(日)23:04:38
──今後は不要!承知した!
詳細は省くが、せっかく自分にお節料理を作ってきてくれたトレーナーとちょっとした行き違いがあり、(何が悪かったのか、ルビー自身にも分からない)それ以降、トレーナーが自分に何かを作ってくれるということはなくなってしまった。
トレセン学園は案外、トレーナーに料理を作ってもらうウマ娘は多い。例えばアグネスタキオン。ズボラな彼女は元々食の味にこだわる方ではなかった。が、あまりにズボラ過ぎるのを見かねた彼女のトレーナーがお弁当を作るようにしたところ、今ではすっかり彼の味に骨抜きにされ、ご飯時になると嬉しそうに弁当の包みを開ける姿が度々目撃されている。たまに食堂のど真ん中であーんで食べさせてもらっていることもあるとか。例えば、ミスターシービー。寮ではなく一人暮らししている彼女は度々トレーナーを自宅に招き、手料理を作ってもらっているそう。この前は腕を組んで一緒に買い出しに行くところが目撃されたとか何とか。
そんなこんなで、いくら超のつくお嬢様と言えど年頃乙女のダイイチルビー。
詳細は省くが、せっかく自分にお節料理を作ってきてくれたトレーナーとちょっとした行き違いがあり、(何が悪かったのか、ルビー自身にも分からない)それ以降、トレーナーが自分に何かを作ってくれるということはなくなってしまった。
トレセン学園は案外、トレーナーに料理を作ってもらうウマ娘は多い。例えばアグネスタキオン。ズボラな彼女は元々食の味にこだわる方ではなかった。が、あまりにズボラ過ぎるのを見かねた彼女のトレーナーがお弁当を作るようにしたところ、今ではすっかり彼の味に骨抜きにされ、ご飯時になると嬉しそうに弁当の包みを開ける姿が度々目撃されている。たまに食堂のど真ん中であーんで食べさせてもらっていることもあるとか。例えば、ミスターシービー。寮ではなく一人暮らししている彼女は度々トレーナーを自宅に招き、手料理を作ってもらっているそう。この前は腕を組んで一緒に買い出しに行くところが目撃されたとか何とか。
そんなこんなで、いくら超のつくお嬢様と言えど年頃乙女のダイイチルビー。
3: 名無しさん(仮) 2024/07/28(日)23:05:03
自分も気になるあの人に料理を作ってもらったり、それを口実にちょっとイチャイチャしてみたい欲は多少あった。その芽を詰んでしまったのも自分なのだが。
「失礼ですがお二人は自分のトレーナーにあーんで食べさせてもらったり、食べさせたことはありますか?」
「なっ、あっ!?い、いやそんな、それはまだ無いですよ!トレーナーさん食事に全力出すタイプなのでそういうの嫌がりそうですし!そもそも私が恥ずかしい……ねぇ、アヤベさんも恥ずかしいですよね?」
「…………」
「あれ、アヤベさんが目を合わせてくれない…もしかしてアヤベさん」
「……仕方、なかったのよ 」
少し顔を赤らめながら、遠い目をするアヤベを見て、ルビーは下唇を噛み、眉間に皺を寄せた。
「何が仕方なかったというんですかアヤベさん!?見てください、あまりのハレンチさにルビーさんが怒ってますよ!」
「怒ってません。こういう顔です」
「良かった、怒ってないですって!それにしてもアヤベさん、本当にトレーナーさんのこと大好きですよね」
「失礼ですがお二人は自分のトレーナーにあーんで食べさせてもらったり、食べさせたことはありますか?」
「なっ、あっ!?い、いやそんな、それはまだ無いですよ!トレーナーさん食事に全力出すタイプなのでそういうの嫌がりそうですし!そもそも私が恥ずかしい……ねぇ、アヤベさんも恥ずかしいですよね?」
「…………」
「あれ、アヤベさんが目を合わせてくれない…もしかしてアヤベさん」
「……仕方、なかったのよ 」
少し顔を赤らめながら、遠い目をするアヤベを見て、ルビーは下唇を噛み、眉間に皺を寄せた。
「何が仕方なかったというんですかアヤベさん!?見てください、あまりのハレンチさにルビーさんが怒ってますよ!」
「怒ってません。こういう顔です」
「良かった、怒ってないですって!それにしてもアヤベさん、本当にトレーナーさんのこと大好きですよね」
4: 名無しさん(仮) 2024/07/28(日)23:05:46
「だ、大すっ!?そんなんじゃないわ!成り行きで仕方無くよ!せっかくお弁当を作ってきたのにあの人が仕事を中断せず『そこに置いといて』なんて言うから!根を詰め過ぎるのも良くないし休憩も大事だって意味合いも込めて無理矢理食べさせようとしただけ!」
「大好きじゃないですか」
「あの人も私の意図を汲んだのか抵抗もせずすんなりと食べるのが悪いのよ!止められなくなるじゃない!一通り食べさせた後に『やっぱり美味しいね、アヤベのお弁当』なんて言うから余計止められなくなって…!」
「大好きじゃないですか」
違うから、違うから!と否定するアヤベとそれに淡々とツッコミを入れるトップロードを後目に、今の会話からルビーは1つの閃きを得た。
──その手がありましたか…!
件のお節事件、今後は不要とトレーナーはルビーに何かを作ることを止めてしまった。が、ルビーからトレーナーに料理を作るのならばまだ芽がある。トレーナーに料理を作ってもらうウマ娘も多いがその逆、トレーナーに料理を作るウマ娘も案外多いのがここ、トレセン学園。
「大好きじゃないですか」
「あの人も私の意図を汲んだのか抵抗もせずすんなりと食べるのが悪いのよ!止められなくなるじゃない!一通り食べさせた後に『やっぱり美味しいね、アヤベのお弁当』なんて言うから余計止められなくなって…!」
「大好きじゃないですか」
違うから、違うから!と否定するアヤベとそれに淡々とツッコミを入れるトップロードを後目に、今の会話からルビーは1つの閃きを得た。
──その手がありましたか…!
件のお節事件、今後は不要とトレーナーはルビーに何かを作ることを止めてしまった。が、ルビーからトレーナーに料理を作るのならばまだ芽がある。トレーナーに料理を作ってもらうウマ娘も多いがその逆、トレーナーに料理を作るウマ娘も案外多いのがここ、トレセン学園。
5: 名無しさん(仮) 2024/07/28(日)23:06:14
例えば、ヒシアケボノ。料理上手な彼女は度々自身のトレーナーにも料理を振る舞っているところを目撃されている。出会った頃より多少ふくよかになった彼を見て満足気だそう。例えば、ナリタタイシン。バレンタインに作ったドライカレーをトレーナーに美味いと気に入られて以降、度々トレーナー寮にタッパーを持ち込む姿が目撃されている。そのことを友人達に“通い妻"と揶揄われた際はいつもの仏頂面だったものの、尻尾は嬉しさ半分気恥しさ半分でゆらゆら揺れていたとか。
そんな感じに料理を作って、あわよくば食べさせ合いっこなんかもして。そうと決まれば参考になる先立から情報を貰いたい。
「貴方は今日もトレーナーさんにお弁当を?」
「え?ええ。別に変な意味は無いから。放っておくとあの人がめちゃくちゃな食生活をしだすのがいけないのよ」
「どんな献立か教えていただけますか?」
「わぁ!それ私も興味あります!」
「どんなって言われても……大好きな人の口に入れるなら、柔らかいものの方が良いわ。そう、ふわふわよ」
「ふわふわ、ですか…」
「今しれっと大好きって認めませんでした?」
そんな感じに料理を作って、あわよくば食べさせ合いっこなんかもして。そうと決まれば参考になる先立から情報を貰いたい。
「貴方は今日もトレーナーさんにお弁当を?」
「え?ええ。別に変な意味は無いから。放っておくとあの人がめちゃくちゃな食生活をしだすのがいけないのよ」
「どんな献立か教えていただけますか?」
「わぁ!それ私も興味あります!」
「どんなって言われても……大好きな人の口に入れるなら、柔らかいものの方が良いわ。そう、ふわふわよ」
「ふわふわ、ですか…」
「今しれっと大好きって認めませんでした?」
6: 名無しさん(仮) 2024/07/28(日)23:07:00
−ふわふわ豆腐ハンバーグ−
材料:牛豚合い挽き肉、豆腐(絹)、玉ねぎ、卵、パン粉、牛乳、塩、胡椒、ナツメグ、【ケチャップ、ウスターソース】ソース用
?豆腐に重石を乗せ、脱水する。
?脱水した豆腐と挽肉、微塵切りにした玉ねぎを合わせ、そこに牛乳、卵、パン粉を加え捏ねる。ある程度粘り気が出たら塩、胡椒、ナツメグを加え、さらに捏ねる。
?捏ね終えたタネは冷蔵庫で30分程度冷やしておくと成形し易くなる。
?成形し、火を通していく。片面4分ずつ、蒸し焼きにする。
?ハンバーグを取り出し、焼いたフライパンにケチャップとウスターソースを投入し、弱火で加熱。軽く酸味を飛ばす。
?ハンバーグにソースをかけて完成。
※肉汁の補強のためにパン粉は多め、もしくはゼラチンパウダーをつなぎとして使うとよりジューシーに仕上がる。
※ソースは一例。豆腐を使っている分和風な味付けでも美味しい。
7: 名無しさん(仮) 2024/07/28(日)23:08:02
「そんなことがあったんです」
「なるほど、それで急に豆腐ハンバーグが食べたいなんて言い出したんだな」
トレーナー宅にて。トップロードたってのお願いにより、今日の夕飯は豆腐ハンバーグである。
「どう?アヤベが言ってたくらい、ふわふわしてる?」
「すごい、すごくふわふわです!……あの、トレーナーさん。あーん」
「あーん」
「えっ?」
「やっといて何でビックリしてんの」
「いや、だって食いしん坊なトレーナーさんに食事の邪魔になるようなことしたら怒るかなって…」
「俺のこと何だと思ってるの。いくら何でも今の話の流れで乙女心察せない程にぶちんじゃない。それよりもお前さんにもそういう乙女心があったことに驚いたよ」
「私のこと何だと思ってるんですか。私だって好きな人と食べさせ合いっこしたり…………」
「…………」
ちょっと気恥ずかしくなっちゃって、その日は無言で食べ終えた二人だったとさ。
余談だが、アヤベに言われた通りのレシピで豆腐ハンバーグを作ったダイイチルビー。ハンバーグを構え、トレーナーをジリジリ壁際まで追い詰めた後、口の中に捩じ込むことに成功したそうな。
「なるほど、それで急に豆腐ハンバーグが食べたいなんて言い出したんだな」
トレーナー宅にて。トップロードたってのお願いにより、今日の夕飯は豆腐ハンバーグである。
「どう?アヤベが言ってたくらい、ふわふわしてる?」
「すごい、すごくふわふわです!……あの、トレーナーさん。あーん」
「あーん」
「えっ?」
「やっといて何でビックリしてんの」
「いや、だって食いしん坊なトレーナーさんに食事の邪魔になるようなことしたら怒るかなって…」
「俺のこと何だと思ってるの。いくら何でも今の話の流れで乙女心察せない程にぶちんじゃない。それよりもお前さんにもそういう乙女心があったことに驚いたよ」
「私のこと何だと思ってるんですか。私だって好きな人と食べさせ合いっこしたり…………」
「…………」
ちょっと気恥ずかしくなっちゃって、その日は無言で食べ終えた二人だったとさ。
余談だが、アヤベに言われた通りのレシピで豆腐ハンバーグを作ったダイイチルビー。ハンバーグを構え、トレーナーをジリジリ壁際まで追い詰めた後、口の中に捩じ込むことに成功したそうな。
8: 名無しさん(仮) 2024/07/28(日)23:09:11
>>7
>余談だが、アヤベに言われた通りのレシピで豆腐ハンバーグを作ったダイイチルビー。ハンバーグを構え、トレーナーをジリジリ壁際まで追い詰めた後、口の中に捩じ込むことに成功したそうな。
またルビトレが勘違いしそうな・・・
>余談だが、アヤベに言われた通りのレシピで豆腐ハンバーグを作ったダイイチルビー。ハンバーグを構え、トレーナーをジリジリ壁際まで追い詰めた後、口の中に捩じ込むことに成功したそうな。
またルビトレが勘違いしそうな・・・
9: 名無しさん(仮) 2024/07/28(日)23:10:57
イチャイチャしとるんか!!
10: 名無しさん(仮) 2024/07/28(日)23:11:33
大好きじゃないですか
11: 名無しさん(仮) 2024/07/28(日)23:12:07
(イタリアのマフィアは殺す前に相手に贈り物をする…つまりダイイチルビーは俺の命を狙っているのかもしれない)